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「アイツが頭下げてくるなんて初めてだったわ」
「……え?」
「Aちゃんを"暫く俺のそばに居させたい"ってな」
あの日、そんなことをイザナはしていたんだ。一見冷めたそうに見えて優しいところもある。真一郎くんは空を眺めながら「俺の家も賑やかになったなぁ」と言っていた。
「………イザナとは血……繋がってないんですよね」
「あぁ、イザナに聞いたか?」
「……はい」
彼は苦笑いを浮かべて「あの時アイツすげぇ荒れてたんだよ」と教えてくれた。私がイザナと再会するまでの間の彼のことを。
自暴自棄。マイキーくんの存在をまだ知る前のイザナはものすごく真一郎くんを慕っていていたようだ。けれど、マイキーくんの存在を知ってから"自分だけの兄"じゃないことに、マイキーくんと大きな抗争も起こしたらしい。
けれど、今は和解した上に佐野家に引き取られ仲良くしている、と言っていた。真一郎くんは「不器用だからか、時々不意に居なくなるんだよな」と教えてくれた。
イザナが言っていた、家族という距離感に戸惑い慣れないことも多いって。けど、真一郎くんはそのイザナの気持ちに気づいてくれてたんだ。
「アイツが帰ってこない時は大抵自分の家に一人でいるか天竺の奴らと一緒っぽいんだよ」
「一人暮らししてたの?」
「俺らと暮らすようになっても、やっぱ不慣れなところがあるみてーだから賃貸借りたままにしてんだ」
「………………」
「今日もそうなんじゃねぇか?」
「家、教えてあげよっか?」と私の髪の毛を掬う真一郎くん。教えてもらおうかなと思えば「いつからロリコンになってんだよ」と低い声。
「真一郎、彼女出来ねぇからって年下口説いてんじゃねぇ」
「イザナ帰ってたのか」
「今帰ってきたとこ」
イザナは私の後ろに立つと「エマが呼んでる」と教えてくれた。立ち上がり、エマちゃんがいるという台所まで行こうとすればイザナは私に「やる」とジュースをくれた。
小さい頃施設でよく飲んでいたジュースだ。顔を上げて「ありがとう」とお礼を言うと足早に台所へと向かった。
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時