モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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オーディションは北海道である。
だから飛行機に乗って会場まで行った。最終まで残れば数日は東京に帰れない。真剣に受けたオーディションは最終選別まで残り、ヒロインの役に抜擢された。



「これとこれかな」



お土産を空港でたくさん買って飛行機に乗る。
飛行中はぐっすりと眠っていて、目が覚めたらもう羽田だった。あくびをしながら荷物を受け取り、外に出れば車椅子に座る銀髪と、それを推す高身長。



「おかえり、A」

「……隆！！」



泣きながら彼のところに走っていく。
何も無い？どこも痛く無い？と怪我の調子を聞けば大丈夫だという。



「ごめんな心配かけて」

「本当だよ。心配で、このまま目ぇ覚まさないんじゃ無いかって怖かったんだからぁ……！！」



わんわん泣いてしまえば、隆は笑いながら「泣くなって」とあやすように頭を撫でた。


それから何日か経った後、隆は一応報告と言って教えてくれた。東京卍會は解散となり、隆は堅気に戻ると言う。これからはデザイナー目指して頑張るって。



「頑張って、将来私のウエディングドレス作って」

「………は、なんでそのこと知ってんだよ」

「八戒くんから聞いたよ」

「……八戒、あの馬鹿」



私も報告した。次のドラマでヒロイン役を演じること。けどドラマは恋愛ドラマ。確か少女漫画のドラマ化だったはず。



「すげーじゃん」

「うん。それでねキスシーンもあるんだよね」



今までモデルとして活動していたし、初恋は隆で今の今までもずっと隆一筋だった。小さい頃にお父さんと他愛無いキスはしてるけどあれば回数に入らないから。



「あのね、やっぱりふぁ、ファーストキスは、……！」



隆がいいな、と顔を上げた。

彼の顔が間近というかくっつきそうというか、唇がくっついていた。びっくりして一度身をひけば「なんだよ」と言って後頭部に回った手で押されてまたキスをする。



「これで俺がAのファーストキスの相手、な？」

「…………そういうとこだぞ三ツ谷隆！！」

「お前その台詞好きだな」



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