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守沢と関わりを持つようになって、何だかんだで1ヶ月以上が経過した。
クラスに取り巻きを作って学校生活を心底楽しんでいる女子を怒らせると起こること。それは程度の低い典型的ないじめだ。
「おはよう中村!」
「……ん、おはよう」
毎朝毎朝一番に登校する私に合わせ、守沢も早く登校してくるようになった。
そうすると必然的に一緒に校内に入ることになる。つまり、私が嫌がらせを受けていることがバレてしまうわけだ。
下駄箱を開けると、中には落書きされた上履きがある。
『男好き』やら『性格腐ってる』やら言われ放題だ。
しかし、そんなので精神をやられる私でもない。
「中村、それ……」
何事も無かったかのように落書きされた上履きに履き替えた私に、守沢は心配そうな視線を向けた。
「いつもの事でしょ。大丈夫、気にするだけ無駄だから」
「……」
嫌がらせが始まったのは2週間くらい前。
上履きに落書きされる度に買い換えるのは勿体ないので、そのまま履き続けていたら、もう書くスペースが無くなってきた。
ただ、これを履いていると視界に映る度に守沢が悲しそうな顔をするのだ。
その事を考えるといい加減買い替えてもいいかな、なんて思ってしまう。
「て、何考えてんだ私」
「……俺の、せいか」
「はぁ?」
らしくない事を考えてしまいひとりで顔を顰めていると、無駄に真剣な声が聞こえてくる。
驚いて顔をあげれば、悲しそうな表情を下に向けた守沢が今にも泣きだしそうになっていた。
「え」
目を丸くして足を止めると、守沢は跪いて私の上履きに触れる。
「あの時、お前は言っていた。……自分は女だから友達なんて無理だ、と。」
「……守沢?」
「それなのにオレが押し切って仲良くしたから、お前はこんな目にあっているのか……?」
その悔しそうな表情に、私は呆れしか出てこない。
なんだコイツ、今更何言っているんだ。今気づいたってもう手遅れなんだよ。
「なら今すぐ私に付き纏うのをやめな」
「っ!」
わかりやすく悲しみに顔を染めた守沢と、目が合う。
だけど、私がどんな顔をしているか気付いたら、驚いたみたいにポカンと口を開けた。
だって、ほんとにおかしくて。
「と、言いたいところだけど。私が気にしてないんだから、あんたもそんな悲しそうな顔しないでよ」
シリアスがこっちまで移るでしょって、笑って見せた。
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りつ@鉛筆 #アダマリLOVE(プロフ) - 急に失礼します癖に刺さりました。 (2022年8月29日 20時) (レス) @page10 id: 6f6f2e1e89 (このIDを非表示/違反報告)
雪月詠 - 急にすみません大好きです() (2022年7月8日 19時) (レス) @page10 id: ec1ca7135a (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 急にすいません好きです() (2022年7月4日 18時) (レス) @page10 id: 6e1901c539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とわね | 作成日時:2022年6月27日 1時