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『…どうしよ…』
髪の毛先から、雫がぽたりと落ちる。
呪詛師の男と戦っている途中、誤って湖に転倒、そして畳み掛けるかのように土砂降りの雨が降った。
どうやら今日の私はついていないようだ。
びしょ濡れになった服、11時で止まった時計、まったく動きやしない携帯。
ため息をつくことぐらいしか出来ない。
補助監督さんには悪いが、電話が繋がればここへ迎えに来てもらえる。
だが、壊れた携帯じゃ電話も何も出来ない。
私はこのびしょ濡れのまま、高専に戻らなくてはいけないのだ。
……この、気絶している男を引きずって。
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恐らく夜勤であろう補助監督の方に気絶した男を受け渡した。呪力が練り込まれた縄で体を拘束した為暴れ出すようなことはないだろう。
ただでさえ事務作業などの激務で追われている身なのに、術師の送迎や任務の管理、こういう呪詛師の対応もしなくては行けないのだから大変であろう。
『(補助監督さんも大変なんだな…)』
びしょ濡れ姿の私に驚いている補助監督さんを見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
ちらりと、壁にかかっている時計は既に12時を回る。
『すみません。お先に失礼します』
報告書、明日でもいいかな。任務の移動時間にでも書けるし、明日の分とまとめて書くのもいい。
今日はもうお風呂に入ってすぐに寝よう、食事をとる元気もないしこの疲れを取るのが最優先だと思った。
…普通、この時間帯に居るはずがない
『……悟……くん……?』
共同スペースのソファに座る、彼の姿に私は驚いた。
声をかけても、反応はない。様子を伺うように彼にそっと近づくが、彼は身動きさえしない。
『(…寝てる…のかな?)』
部屋は暗く、髪の毛やサングラスのせいで彼の表情はよく見えない。
任務に疲れてここで眠ってしまったのだろうか、そう考えたが彼は今日午前中の任務数件だけだったはず。
彼は部屋着だし、単純にここで寝落ちしてしまったのだろう。夏だと言っても夜は冷えるし風邪をひいてしまうかもしれない。
彼を起こそうと、そっと、彼に手を伸ばす。
その白い髪に、触れようとした時___ぱしりと、その手を掴まれた。
『……っわ、!』
突然のそれに驚いた声を出したものの、すぐに目の前の人物を見ると、
その青い瞳と、目があった。
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らいらっく(プロフ) - きのこ姫さん» そう言ってもらえてとっても嬉しいです😭続き頑張って書こうって気持ちになれますありがとうございます!🫶 (3月12日 12時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - 名無し37619号さん» 嬉しいですありがとうございます!!文字数制限に阻まれながらも頑張っております🥹 (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - ちむさん» ありがとうございます!!そう言ってくださるととてもやる気になれます😭😭 (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
らいらっく(プロフ) - みょんさん» あわわありがとうございますとっても嬉しいです😭私も早く夢主ちゃんの秘密バラしたいです…🥺更新頑張ります!! (3月12日 11時) (レス) id: 794256331a (このIDを非表示/違反報告)
きのこ姫(プロフ) - すごい!面白かったです!はやく続きがみたいです。 (1月4日 13時) (レス) @page35 id: 37e234dc71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らいらっく | 作成日時:2020年12月7日 22時