14話 ページ15
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夕方には仕事のひと段落がついたので
「宝物庫見てる」と伝言してくれたAをお迎えし、
俺たちは早めに家へと到着した。
「今更だけど、私なんか宝物庫に入れて大丈夫だった？」
キバナ「んーまぁ、チャンピオンとそのライバルの
友人ってことはいいんじゃねーの？」
「適当だなぁ…」
キバナ「あ、オレ様この後ランニングしに行くけど、
一緒に走るか？」
「キバナくんの1歩って私の2歩じゃん。
追いつかないからやめとく」
キバナ「コータスも追いつけるくらいのスピードにするぜ？」
「トレーニングになるのかなそれ」
キバナ「それかフライゴンに乗って応援するとか」
Aは渋い顔をしていたが、
フライゴンに乗れると聞いてパァッと顔を明るくさせる。
トレーニングウェアに着替えてくる旨を伝えて
別室に入り、いよいよ俺は頭を抱えた。
すんなりと入れちまった…。
Aとはいえ、女の子を！
生まれてこの方、愛しきポケモンたちと過ごしてきた愛の巣に…！
間違いなんて絶対ぜったいしないけれど。
そうだ、Aを新しいポケモンと思い込もう。
そうすれば変な意識なんてしないはず…！
そうしてオレ様は雑念を振り払い、
ぱぱっと身支度を済ませてリビングに戻った。
そこではさっそくAがフライゴンのお世話を始めてる。
「フライゴンお利口さんだねぇ」
フライゴン『ふりゃぁ』
「タマゴ抱えて背中に乗っても平気？」
フライゴン『ふりゃ！』
「頼りになる〜！あ、キバナくん着替え終わった？」
キバナ「オレ様のポケモンたち取るなよォ…？」
主人が入る隙間もないほどのいちゃつきっぷりを見せつけられ、
思わぬ方向への嫉妬が止まらない。
Aとフライゴンは「何を言ってるんだ」という冷たい目で
じっとりとこちらを見つめている。
「他の子達はお留守番？」
キバナ「そうだなぁ…行く途中にポケモンセンターに預けて休ませようか」
「わかった」
キバナ「あ、そうだ。ほれ」
「？」
玄関で身なりを整え始めるAの頭に帽子を乗せてやる。
俺のサイズなので少し大きそうだ。
色違いの物を被りながら
不思議そうに見上げてくる彼女へ説明してあげよう。
キバナ「有名人はいつプライベート見られるか分からねぇからな」
「私も？」
キバナ「有名人の『恋人』じゃん？」
「…？」
キバナ「はは、そんな顔すんなよ。
冗談だから」
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続く
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作者名：曙ぼあ | 作成日時：2023年9月11日 21時
