12話 ページ13
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ジムチャレンジが無事に終了。
ユニフォームから着替えてロビーに戻ってみると
ホップとAちゃんが
ソファーのところに並んで座っていた。
ホップ「えーアニキさっきまで一緒だったのか？」
「そうなんだよ〜。忙しいねぇ」
ホップ「そっかぁ…あ！ユウリ！お疲れ様だぞ！」
ホップが気づいて手を振ってくれる。
すぐに駆け寄ると、Aちゃんも「おつかれさま」って
声をかけてくれた。
……あれ？
ユウリ「そのお腹どうしたの？」
ソファーに座ったまま手を振るAちゃん。
ぶかぶかとしたパーカーのポッケに手を入れるスタイルは
いつも通りなのに、
そのお腹はぽっこりと膨らんでいる。
まるで赤ちゃんが産まれる前のお母さんみたい。
ホップ「うわ！ほんとだ！」
ユウリ「え、ホップ気づいてなかったの？」
ホップ「食べ過ぎか？！」
「失礼な。この子だよ〜」
そう言ってパーカーを捲ると現れたのは立派なタマゴ。
つるりとした表面が明かりに照らされた。
ユウリ「わー！いつから持ってたの？」
「昨日ダンデ君から渡されたんだぁ」
ホップ「アニキのタマゴってことは最強ってことか！」
「『ダンデくんのタマゴ』だと語弊がある」
苦笑いするAちゃんはタマゴをそっと撫でて
「2人に託そうと思って」なんて呟いた。
すかさずホップが反対する。
ホップ「だめだぞ！責任もって育てなきゃ！」
「責任を感じてるからこそだよ〜。
それに2人にとっても経験になるじゃん？」
ホップ「アニキがAさんに頼んだのなら
Aさんが育てなきゃ！」
「ぐぬぅブラコンめ……ユウリは？だめかな？」
助けを求めるように私を見上げるAちゃん。
タマゴを育てたことは今までに無いので
そりゃ貴重な経験になることだろう。
……でも、やっぱりダンデさんがAちゃんに
頼んだのなら、きっと意図がある気がして。
ユウリ「…私も、Aちゃんが育てるべきだと思う」
「ユウリぃ〜！」
ホップ「そんなことしたらアニキに報告するぞ！」
「う……わかったよ…ごめんって」
不貞腐れるAちゃん。
だけど、タマゴを撫でる手は優しさに溢れている。
やっぱりポケモンのこと大切なんだろうなぁ。
Aちゃんが手持ちにポケモン居ないのが不思議なくらいに。
ホップ「タマゴから産まれたら、俺たちとバトルだな！」
「言うと思った」
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作者名：曙ぼあ | 作成日時：2023年9月11日 21時
