1話 ページ2
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ユウリ「この辺りでいいかなぁ…」
友人のホップと別れて、
ワイルドエリアを散策して半日が経った頃だろうか。
リュックの中には木の実がぎっしり詰まっていて、
昼、夜とご飯には困らなさそう。
本来なら夕方までにエンジンシティに
到着するつもりだったけれど、
野生のポケモンたちと対峙していたら
すっかり昼過ぎになってしまった。
遠くに見える大きな門と建物には日を跨いでからの
到着になるだろう。
草むらからも離れた木陰にバッグを下ろすと
タイミングを見計らったようにモンスターボールから
唯一の相棒が姿を現した。
メッソン「きゅるぅ…」
ユウリ「お腹空いたよね、キャンプしよっか」
悲しそうに甘えた声で鳴く声に
庇護欲がくすぐられてしまう。
ちゃんとトレーナーとしてやっていけるか不安だったけど
この子を守るためには何にでもやってやろうと気持ちになるのだ。
ユウリ「美味しいカレー作るから待ってて！」
メッソン「きゅるぅ…！」
任せてくれと胸を叩けば嬉しそうに両手を上げて喜ぶメッソン。
なんて可愛いんだろう！
是非とも美味しいカレーを作って食べてもらおうと意気込み、
私はさっそくお鍋に具材を切って入れていく。
ルーを入れ、スパイスの匂いがしてきた時だった。
メッソン「きゅる…」
ユウリ「メッソン？どうしたの？」
木陰でじーっと待っていたメッソンが
足元に寄ってくる。
不安そうに私の足に手を添えつつも
どこか遠くを見つめてこちらを見ようとしない。
つられて私も目を凝らして遠くを見渡してみる。
キバ湖に昼の太陽が反射して眩しい。
キラキラと反射する光に目が眩みそうだ。
ユウリ「んん…？」
キバ湖の浅瀬に、ギャラドスが顔を出していた。
それ自体は不思議では無いのだけれど、
ギャラドスのすぐ近くに「なにか」ある。
よくよく目をこらすと、それが人の後頭部で、
長い髪が腕と一緒に草むらに投げ出されていたのが分かった。
つまり、人が、湖のほとりで人が倒れているのである。
ユウリ「わっ、わぁぁ〜？！大丈夫ですかっ？！」
メッソン「きゅるぅ〜ッ！」
晴天。
快晴。
そんな昼下がり。
Aさんと、
奇妙な出会いをしたのでした。
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作者名：曙ぼあ | 作成日時：2023年9月11日 21時
