花魁させて頂いていた夜兎族です【神威】

第3話 ページ5

「いたぞ！捕まえろ！！」






女たちの声が聞こえ小部屋の襖を少し開けようとすると






ﾊﾞﾀﾝ



ﾄﾞｻ






人の倒れていく音がして






少し襖を開け覗き込む






「こんなところで何してるの？

　ひょっとしてお母さんでも探してるのかい？」






男の子が息を呑む音が耳に入る





「あり？どうしたの？

　寒いの〜？大丈夫？」





そして血の匂いの中に






彼がいた






「ねぇ、そんなに会いたいなら

　俺についておいでよ

　合わせてあげるよ？日輪に…」






そして無言で歩き出す彼に子供が大声を上げた






「ぉ、おちょくってんのかよ！

　あんた、おいら達の味方じゃない

　鳳仙の味方でもない…一体なんなんだ」






「生憎、吉原にもビジネスには興味はないんだ…」






百華の増援が2人を囲む






「会いたくなった…

　あの夜王鳳仙が腑抜けになるまでタラし込んだ女に」






彼の言葉に聞き入っていると





百華の女達は薙刀を2人の元へ振りかざす






「ぁぶ…！！」






思わず声が出てしまう






しかし振りかざされた場所に2人はいなかった






そして






「会いたくなった…

　吉原中の女達から太陽と呼ばれ縋られる女に」






彼らは宙に浮いていた






そして次の瞬間







目の前で血の雨が降り出し女が倒れていった







その圧倒的強さに不思議と怯えなかった






(これが夜兎族の力…)






むしろ魅了されていた






「さぁ、会いに行こうか

　吉原で最も美しく強い女に…」






その言葉を聞き襖を閉じようとしたその時






「お前もだよ

　A花魁」






襖を蹴破られ唖然とした







「…A花魁がなんで此処に？」







子供の声で我にかえる







「バレてたんですね…」







「どうして逃げたんだい？

　阿伏兎に待つよう言われただろ？」







「その子が心配で探してました」







「じゃあ此処で見つかったから

　一緒に来れるよネ？」






知った雰囲気でない神威の旦那に






圧に負け彼らの後ろをついて行った




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