花魁させて頂いていた夜兎族です【神威】

第15話 ページ17

「おい、嬢ちゃん」






振り返ると阿伏兎が







以前持っていたものと違う色の傘を手にしていた







「どうしたの？」







尋ねるとこちらに傘を差し出してくる







光の当たり方で







キラキラと光って見えるグレーの番傘







「使いな」







「いいの？」







「さしてないと死んじまうだろ」







「綺麗ね…ありがとう」







「んじゃ、死なねーように頑張って来い」







「はい、行ってきます」







そう言うとひらひらと手を振り去って行った







「阿伏兎と仲良いよネ

　何してたの？」








振り向くと神威がこちらに向かって来る








「私にって傘頂いたの」








「ふーん…

　行こうか、初任務」








一瞬彼の表情が怖く見えたが







直ぐにいつもの表情へ戻り一緒に任務へと向かった






「ドキドキする？」







「うん…少し緊張してるかも」







そう呟くと






ぎゅっと手を握られていた







自分とは違う体温が伝わってくる







「こうしたら落ち着くだろ？」







そう尋ねられ自分の胸に手をあてる







「…落ち着かないわ？」







更にドキドキが増したように思えた







「そっか」







いつものようにニコリと笑顔を向けられ







彼の体温は離れていった





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