第２１１話 体育館 ページ11
貴｢ハァ･･･ハァ･･･｣
片手に奇銃を手にしながら、胸元の服を握りしめるようにして抑え、歩いていく。
さっきまでの焼けるような痛みは無くなったけど、やっぱり傷口が開いたのは痛手だ。
出血も多い──･･･。
そんなことを思いながら、他のリングの守護者の元へ向かっていく。
多分、雲雀さんは校内で死人が出たら風紀が乱れるからって理由で解毒をしてくれているはず。
とりあえずは片っ端から確認しに行こう。
その腹積もりで歩いてきたはいいけど、予想以上に以前の戦いでに負った傷が酷い。
昨日まで──いや、
──なるべくなら、戦闘は避けたいな。
とてもじゃないけど動けるような状態じゃない。
そんなことを思いながら、やっとの思いで体育館までたどり着いた。
そう、クロームがいるところだ。
術士は苦痛に弱い──･･･。
幻術を使うには集中することが大前提。
痛みで気が逸れると上手く使えなくなるのだと、以前師匠に聞いたことがあった。
だとすると、クロームも同じなのではないだろうか。
そう考えてここに来たのだ。
貴｢──誰も居ないといいけど･･･｣
その思いで扉に手をかけ一気に扉を引き、中に入る。
そこには、天井が壊れた時に出たであろう瓦礫と無傷のポール、そして、近くに横たわるクロームとマーモンの姿があった。
よし──まだ誰も来てない･･･！
私は、手にしていた奇銃をポールに向け弾丸を放つ。
ドォォン！！！
土煙を上げながら倒れるポールに駆け寄り、霧のリングを探す。
だけど、一向に見つからない。
──土煙が晴れてもなお。
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2022年3月1日 16時
