第９８話 面影 ページ48
Aside
──翌日。
朝からずーっと降しきる雨に、修行に身が入らずうんざりしていた。
ﾙｶ｢やっぱり、雨すごいわね･･･風邪ひかない内に引き上げた方が良さそうね｣
カッパを着ててもなお、頬に伝う水滴を拭いながら空を見上げる師匠。
貴｢──･･･｣
そういえば──向こうにいた人も黒いフードを深く被ってたんだよな･･･。
こんな風に──･･･。
あぁ･･･なんか･･･やっぱり師匠、あの人の面影あるな･･･。
やっぱり･･･師匠だったんだ、あの人･･･。
ﾙｶ｢うわっ･･･！？ちょ、A･･･急に何･･･！？フードなんか引っ張って･･･！｣
貴｢え･･･あ、ゴメン｣
どうやら、私は師匠のフードを無意識のうちに引っ張って深く被らせていたらしい。
すぐに謝ってフードから手を離した。
ヴァリアー側にいた･･･あの守護者は･･･もしかしなくても師匠で･･･。
多分、私の対戦相手だ。
貴｢･･････｣
師匠と戦うの･･･嫌だな･･･。
ﾙｶ｢･･･全く･･･なに考え込んでんのよ。悩み事？｣
貴｢えっ──･･･！？･･･えーっ、と･･･｣
悩み事･･･と、いうか･･･。
貴｢･･･守護者戦、誰と戦うんだろうって･･･思って。戦いにくい人だったら･･って、色々考えちゃってた･･･。まだ、誰なのか決まってもないのに｣
ﾙｶ｢･･･守護者戦･･･ね｣
正直に話すと師匠は少し笑った後、私の頬を撫でた。
ﾙｶ｢
貴｢そりゃあ･･･まぁ･･･｣
これでも、私だって人の子だ。
誰だって親しい間柄の人間とは戦いにくい。
プロのヒットマンなら、そんな感情投げ捨てられるのだろうけど･･･。
私には、やっぱりまだ難しいようだ。
──結局、この日の修行は、予想以上の悪天候により断念した。
外では雷が大きい音を立てて鳴り響いている。
昨日の話ぶりからすると今日は雷の守護者の対決らしいけど･･･大丈夫なのかな、こんな悪天候の中で。
──雷に、うたれないといいけど。
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2021年12月8日 21時
