第５５４話 絡まれる理由 ページ4
帰り際、廊下を歩いていると転校生の美園エリカが男子に囲まれていた。
男子1｢よぉ、エリカちゃん。どうして女の子なのに男子用のズボン履いてるのかなぁ〜？｣
男子2｢女の子ならスカート履かなきゃダメだろ〜、ほら、ズボン脱がせてやるからよ！｣
美園｢･･･｣
周りの男子に言われるがまま、無言を貫く美園。
うつむいているから表情は分からないけど･･･嫌だろうな。
ギュッと手を握りしめ、囲まれている美園の元へとあゆみ出す。
そして、男子をかき分け美園の腕を掴んだ。
貴｢こっち来て｣
美園｢え｣
キョトンとしてる美園を横目に、男子の間をするりと抜ける。
男子2｢あ、おい！｣
貴｢立場が弱い人を蔑んで楽しむみたいな、そーゆー低俗なやつがすることやめた方がいいよ、バカに見えるから｣
男子1｢は･･･！？｣
そう言って振り返らずに歩き出した。
美園｢あの･･･｣
美園が何かを口にしようとした時、私はゆっくりと手を離した。
貴｢迷惑だったならごめんね、あーゆーの見てらんなくて｣
美園｢いや、助かったよ･･･ありがとう。ボク、名前がエリカだからよくあんな風にからかわれたりいじめられるんだ｣
優しく微笑みながらお礼を言う美園。
エリカ･･･か、確かに女の人によくいる名前だけど･･･。
名前がどうであれ、中身を見なきゃ意味ないと思うのに。
貴｢そう？私は良い名前だと思うよ。ちなみに私は神影 A。･･･ま、また絡まれないように気をつけてね｣
そう言って、私はその場をあとにした。
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2023年11月5日 13時
