第４５９話 京子たちの異変 ページ9
結局、あの後も師匠は私に抱きついたまま全く修行をしようとはせず──離した、よし修行か、思ったら後ろから抱きついてきて･･･その繰り返しだけで、時間だけが過ぎていった。
くっつき虫のように私から離れようとしない師匠･･･そんな師匠を引きずるようにして、歩いていると──
貴｢あれ･･･京子？ハル？｣
京子とハルが、何かを決心したような顔つきで何かを話し合っていた。
･･･やっぱり、さっきトレーニングルームにいた事となにか関係あるよね。
ﾊﾙ｢！Aちゃん･･･後ろの人、誰ですか？｣
貴｢あ･･･えっと･･･｣
私の師匠、なーんて言えないしな･･･。
ﾙｶ｢──俺の妹｣
返事に困っていると、だんまりを決め込んでた師匠が口を開いた。
妹･･･？あぁ、そういう設定ね。
貴｢そ、そう。私のお兄ちゃんなんだ。だから･･･ぐえっ｣
“お兄ちゃん”という言葉を口にした途端、ギュゥゥっと抱きしめる力がより一層強まり、首が締まりかける。
貴｢ちょ･･･苦しい苦しい･･･｣
トントン、と苦しげに腕を叩くと、少しだけ緩みはしたけどまだ結構な力ですがりつかれている。
京子｢そっか。･･･あのね、Aちゃん。聞きたいことがあるんだけど･･･｣
京子が口を開いた瞬間、私は何かを察してすぐさま答えを返した。
貴｢･･･色々、知りたいんだよね。ここで起きてることと、これからのこと。さっきトレーニングルームで聞き耳立ててたもんね｣
ハル｢！｣
京子｢！｣
私がそう言うと、驚いたような表情を浮かべる京子とハル。
そのあと、もしかしてみんなにも･･･と言ったような不安そうな顔をする。
貴｢･･･大丈夫、気付いたのは私だけだよ。私はその場に居続けたから、わかっただけ｣
他の人たちは各々の修行に向かったから、京子達の存在に気付いていない。
ハル｢じゃあ──･･･！！｣
教えてください。
そう言いたげなハルの言葉に、私は一瞬なんて返そうかためらってしまう。
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2023年4月15日 4時
