第４９８話 正体 ページ48
その後も──お互いがお互いの技を真似てぶつけ合う応戦が始まる 。
だけど、必ずと言っていいほど押し負けてしまい、左肩、右脇腹、両脚──ありとあらゆる所に傷ができていた。
貴｢ハァ･･･ハァ･･･ッ･･･｣
左肩の傷を抑えながら、ふらつくのをなんとか耐える。
なんか、特訓してた時より技の威力が落ちてる気がする。
それに、いつもに増して妖力の減りが早くてもう底をつきそう──死ぬ気の炎だって、出せる量が少なくなってきた。
その証拠に、ニコが
正一『“──神影さん！戦況は！？”』
ジジジっ──という音と共に、入江さんの声が耳に届く。
貴｢･･･っ、フード、被った･･･ツギハギのヤツとっ･･･交戦中ッ･･･！でもっ、ダメージ１つ与えられてないっ･･･！｣
リング争奪戦の時にアルダを倒した大技を放っても、倒れはするものの、すぐに立ち上がって反撃をしてくる。
貴｢──むしろっ･･･攻撃を受けてっ、回復してるまであるっ･･･。妖力も、炎も、もう底をつきそう･･･！多分、相手に吸収されてる･･･！｣
正一『“攻撃を吸収っ･･･！？それが正しければ、相手は“アルダ”さんの死体を直接改造して作られた、対神影さん用の戦闘
貴｢･･･アルダ･･･？｣
──アルダの死体を･･･直接改造･･･？
目の前にいるのはアルダで、私の既視感は気のせいじゃなかったってこと？
半ば放心しながら、ツギハギだらけになったアルダの方を見つめる。
その時、さっきまで虚ろだった彼女の目から、ゆっくりと流れ落ちる涙が見えた。
その目は、まるで･･･助けを求めるようで･･･。
貴｢っ──･･･！！｣
正一『“獄寺君！神影さんの援護に──”』
貴｢──いらない｣
入江さんの言葉を遮るように、私は口を開いた。
正一『だけど！神影さんの攻撃は効かないんだよ･･･！？』
貴｢なら、獄寺来ても変わんない。･･･倒すことは出来ないなら、ここで抑え込む。･･･
正一『“･･･わかった、君に任せるよ”』
私が引き下がらないと判断した入江さんは、少しの間を置いてそう答えた。
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2023年4月15日 4時
