第４９７話 敵襲 ページ47
正一『“──神影さん。位置で待機！戦況次第では、オフェンスに！周囲の警戒も怠らないで！”』
貴｢りょーかいっ！｣
イヤーマイクから通して聞こえてくる入江さんの指示通り、バイクを止める。
そして周囲の警戒を始めた。
今のところ、何も無いように見える。
けど、幻覚で姿を消している可能性もあるから･･･気を抜けない。
そんなことを考えている時、超高速で何かがこっちに飛んでくるのが見えた。
これ──妖術で作られた、槍･･･！？
貴｢っ──“リジェクト”！！｣
とっさに前を手を出して何層にも渡って防御壁を張る。
その防御壁にグサグサと音を立てて突き刺さる槍──そして･･･
ズキッ──
貴｢っ･･･！｣
何層にも重ねた防御壁を突破して、私の左腕を掠めていった。
貴｢入江さん！敵襲！！迎撃体勢に入ります！！｣
正一『“そんな！！レーダーには映っていないのに･･･！？──わかった！迎撃パターンＤで行こう！！”』
貴｢了解！──ニコ、
入江さんとの通信を終え、ユニコーンのニコに声をかけ、奇形杖へと変化してもらう。
どこだ･･･どこにいる･･･！？
??｢──“シルフウィンド”｣
貴｢！！──“シルフウィンド”！！｣
周囲を見回している時に背後から声が聞こえてきて、とっさに技を出した。
だけど、相手の技の方が威力が強いのか相殺されても私の方には強い風が吹き付ける。
貴｢っ･･･！｣
腕を前に出し、体に吹き付ける風から身を守った。
そして、風が止んだあとに、腕をどかして声をのした方に視線を向ける。
そこには、さっきの風で深く被っていたフードが外れ素顔が顕になった。
虚ろな目に、ツギハギだらけの身体──少し動く度に、ギシギシと軋むような音のする胴体･･･。
──その姿に既視感を覚えた。
『“だってそれ、確実に私がなるんだもの。そこにいるダッサイ格好した女に、この天才召喚士のアルダが劣るはずないじゃない”』
リング争奪戦の時に、苦戦した相手──アルダにそっくりなのだ。
だけど、アルダは未来の私を庇って亡くなったって聞いてる。
他人の空似──･･･？
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2023年4月15日 4時
