第４６３話 怪我 ページ13
京子たちに着くと宣言したのはいいものの──･･･。
目に見えて絶不調な皆──私は、少しだけ自分の選択を後悔し始めていた。
貴｢様子、見に行った時っ！絶不調っぽかったけどっ････大、丈夫かなっ･･･沢田達･･･！｣
ﾙｶ｢アイツらならなんとかすんだろっ。ほら、集中しねぇと怪我すんぞ！！｣
無詠唱の状態で師匠の技を防ぐ特訓をしながら、沢田達のことを心配する。
けど、気が散ったせいか上手く防ぎきれずに腕や脚を掠めていく。
貴｢いっ･･･！｣
ﾙｶ｢！･･･ほら、言っただろ。集中しねぇと怪我するって｣
一瞬動揺しながらも、フゥ･･･と息をついて私の方に歩み寄る師匠。
ずっと思ってたけど、１０年後の師匠はすっかりオネェ口調は外れているようだ。
そのせいか口調はキツく感じるけど、傷を見るその手つきは優しさに溢れている。
最初は、口調が１０年前の師匠と違ってて違和感が凄かったけど──優しいのは変わんないんだな。
貴｢ふふっ･･･｣
ﾙｶ｢！･･･怪我して痛てぇ思いしてんのに何笑ってんだよ｣
怪我の手当をしようとしている師匠が、私の方に視線を向けてムスッとした表情を浮かべる。
貴｢いや･･･１０年前と口調違うから違和感すごいなーと思って｣
ﾙｶ｢当たり前だろ。記憶をなくしたお前が、女装した俺見て初めて笑ってくれたのが嬉しくて、わざわざ続けてたんだからな｣
貴｢･･･私が？｣
意外な事実を知って、私は思わず目を点にしてしまう。
ﾙｶ｢･･･じゃなきゃ、同期に変な目で見られてでもオネェのフリなんかするか｣
そういいながら、手早く手当を済ませて再び銃に炎を灯す。
確かに･･･そういえば、ディーノさんとかスクアーロとかに変な目で見られてたもんな、師匠。
そういうことだったんだ。
ﾙｶ｢ほら、続きやんぞ｣
貴｢･･･うん、分かった｣
驚きと嬉しさとで感情がごちゃごちゃしてるけど、嬉しさが勝っていたようで、自然と笑みがこぼれ出していた。
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作者名：朔怜ｰｻｸﾚｰ | 作成日時：2023年4月15日 4時
