蒼い雛鳥 ①【原神】 (ページ6)

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深い深い、池の中。
人間では息ができない程、深い奥底に " 秘境 " が存在した。
その秘境には、とある仙人が居る。

『 …今日も璃月の水質は問題無し…と。』

惘(ぼんやり)と光る燈籠、
その傍には無造作に置かれた沢山の資料。

そして…、彼女の後ろには
鍾離と呼ばれたあの男性が彼女の手元を覗き込んでいた。

鍾離
「お前は変わらないな。」

『 …帝君、急に来られては困ると、一昨日も(・・・・)言いました。』

鍾離
「お前こそ、いい加減 " 鍾離 " と呼んだらどうだ？」

『 …鍾離、殿。』

鍾離
「何だ？俺の可愛い…雛鳥(ひなどり) 」

『〜っその呼び方はやめて下さいと言った筈です！！』

椅子から立ち上がり、怒る自分を見て笑う男性に呆れながら
彼女は彼から視線を逸らした。

鍾離という男性の正体は、
彼女が述べた通り…璃月を統べる神である。

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── 岩王帝君(がんおうていくん)。

このテイワット大陸を統治する" 七神 " の一柱であり、
岩と契約の国「璃月」を興し統治した魔神・モラクス。

彼は約6000年以上の歳月を生きており、
魔神の中では最古の神として語られている。

そして、現在も璃月を統治し、
民衆から深く尊敬されている存在だ。

そんな彼は鍾離という名で、
璃月港にある葬儀屋・往生堂に客卿として籍を置いている。

── 水泊留朔真君(すいはくりゅうさくしんくん)。

その仙人の名は、書記や歴史本に載っているため、
璃月人なら聞いたことがあるであろう。

その仙人は水を司る鸞鳥の姿をしている。
だが、仙獣の姿より俗世の姿で民の前に現れることが多い。

容姿端麗な顔立ちに、羽衣のように棚引く服が印象的だ。

また、彼女は水を清める仙力を持ち、
璃月の水質を保つ為、水の中にある秘境で暮らしている。

そして、彼女は魔神戦争集結後から秘境に籠っているので
友だった仙人達と一度も顔を合わせていない。

その為、他の仙人達は彼女が何処で何をしているのか、
全く知らず、行方不明になったと思っているのである。

だが、岩王帝君だけに伝えていた為、
月に一度…いや、何故か今では週に二、三回程に増えたが、
こうして会いに来てくれている。