蒼い雛鳥 ①【原神】 (ページ19)

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奥蔵山 ───
珉林に位置する岩山であり、
この地は留雲借風真君(りゅううんしゃくふうしんくん)の本拠地でもある。

直ぐ傍には大きな石机に茶碗と箸が置かれており、
石椅子にはそれぞれ名が刻まれている。

パイモン
「ん？何でこんな所に石のテーブルが？
　しかも、食器と酒壺がたくさん...

　椅子には字が刻んであるな、
　" 此処に留雲が居る " 、" 此処に帰終が座る " 、
　それと、" 此処を帝君が借りた "

　" 帝君 "って、もしかして " 岩王帝君 " の事か？」

『その通り。
　留雲は留雲借風真君の事、帰終はとある魔神の事だよ。』

パイモン
「ってことは、
　ここは留雲借風真君が他の仙人と食事をする場所なんだ！」

『うん、昔はよく此処で雑談しながら食事をしていたよ。』

そんな昔話をしながら、
私たちは留雲がいる秘境へと足を踏み入れる。

この秘境の仕掛けは全て留雲が作ったもので、
留雲はよく帰終と枢(からくり)作りをしていた。

仙境を通り抜け、広い場所まで出ると、
涼やかな声が聞こえてきた。

???
「妾の仙境を通過するとは、大した者だ。」

少し離れたところから私たちを見ていたらしい。
青と白を基調とした羽毛を持ち、硝子のような瞳を持つ、
威風凛々の鶴の仙人がそこに居た。

留雲借風真君
「妾は留雲借風真君(りゅううんしゃくふうしんくん)、
　君達、何しに此処に来た。」

『 …久しぶりだね、留雲。』

留雲借風真君
「 " 久しぶり " だと？
　お前は…まさか、Aか？Aなのか…！」

『そのまさか、だよ。』

留雲借風真君
「 … 」

留雲は私の所へ近寄ると、透き通った眼で私を見つめた。
暫く私を見つめた後、怒った口調で私にこう述べた。

留雲借風真君
「お前…一体何処へ姿を隠していたのだ！
　妾だけでは無い…
　皆(みな)がどれだけお前の身を案じていたと！

　許さぬぞ、数千年振りに顔を出しだからといって、
　妾は…妾は……。

　何故だ… 」

『 … 』

留雲借風真君
「何故、お前は昔から一人で何もかも抱え込むのだ…
　妾が、妾達がそんなに頼りないのか…？」

『！』

硝子のような瞳には涙が溜まっていた。
留雲らしからぬ弱々しい姿を見て、
初めて私は、皆に心配を掛けていたのだと自覚した。