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____数年前。
「淑女様の下に仕えているリンネと申します。公子様とお仕事をご一緒できて光栄です」
「うん、よろしく」
私が彼と初めて仕事をしたのはこの時だった。
ファデュイの金を借りたまま返さないまま逃げる人を倒すという任務だ。
人手が足りないため、私が指名されたらしい。どう考えても彼一人で問題ないと思うんだけど。
「これが今回の計画だ。今頭に入れてくれ」
そう言って彼は私に紙を渡す。
自慢だが記憶力は良いほうだ。
私はその内容を数分で頭に入れ、彼に紙を返す。ドヤ顔付きで。
「覚えました」
「早いね。うん、そういうところ好きだよ」
「__ん…?」
____いや待て待て待て。
「好きだよ」?
は???
私たち初対面ね???いい??
反射で彼と目を合わせると、どうかした?と、別に何もしていないと言う風に見つめ返してくる。
は〜んそうですか、あくまで白を切ると?
だったら私だって動じる姿は見せられない。
「身に余るお言葉恐縮です」
「……」
私がそう言うと、なぜか急に黙る彼。
「公子様……?どうされましたか」
「いんや?かわいいなと思って」
「…………」
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作者名:りんた | 作成日時:2024年2月6日 13時