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「君たちは私と対等だと思って話すけど!! 公子様は私を弄んで楽しんでるのぉ……!」
「落ち着けってリンネ〜!」
公子様と会って数日後、私は空とパイモンに会って公子様の愚痴をこぼしていた。
普段の私ならこんなことしないのだが____
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「やっほー、旅人たち。また会ったね」
「おお、リンネ! こんばんは!」
数時間前、私は偶然道で料理をしている旅人たちに会った。
「なんかめっちゃ良い匂いするけど、何作ってるの?」
「実験してるんだよ。いろんなものをまぜて、なにができるかやってみてるんだ」
「ふーん?でもこれは成功そうだね」
鍋の中にある料理からはいい匂いがして食欲をそそられる。
「リンネ、もしかしてお腹すいてる?」
空くんが見透かしたように言う。
「う……何でわかるの」
「おまえ、食べたそうに見つめてるじゃないか! 誰でもわかるぞ!」
なるほど、私は表情を隠すのが下手らしい。
まあ確かに今日は忙しすぎて死ぬかと思ったけど!!
そんなわけで、できた料理を私に食べさせてくれた。
ありがとう空くんマジ神。
しかし、この料理はある効果があった。
「お、おい!様子が変だぞ!リンネ、大丈夫か?」
「う、うん。でも頭がボーっとして……」
これはアルコールを飲んだ反応に似てると気づくが、だいぶ効果が強いらしい。
「旅人!リンネを室内に運ぼう!!!」
そうパイモンが言っていたのは聞こえた。
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「前からそうなんだよあの人はぁ!いつも私をからかってぇ……」
「もう!一回水飲めよ!」
パイモンがそう言って水を差しだしてくる。
私はそれを一気に飲み干す。
熱が冷めていくのがわかる。
「うう〜、取り乱してごめん……」
「大丈夫だぞ! なんていうかその、お前も苦労してるんだな」
「……いやまあ原因はわかってるけどね」
そう言うと、空くんはしばらく考えていた顔を上げて、口を開く。
「でも今のリンネの話からすると、手をつないできたりって、少なからずリンネのことが好きってことじゃないの?」
「ああ〜……まあ初めての人はそう思うよね。分かる分かる。私もあの人じゃなかったらそう思ってたもん」
「公子だと何かあるのか??」
その質問に、私は昔のことを思い出す。
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作者名:りんた | 作成日時:2024年2月6日 13時