公子様には騙されない (ページ8)

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「ゼェ…ハァ…こ、ここがっ……ゴールでしょうかっ……！？」

「うん、そのようだね」

あの後歩くこと約20分。

死ぬほど驚きつつも、なんとか無事にゴールらしきところに来る。

ついでに驚き方もマスターした。

「早く出ましょう……！」

私たちは出口に近づく。

秘境から出ると、やっと終わった安堵感でいっぱいになる。

もう任務は終わったし、この男と一緒にいる意味はない。

「それでは、私はこれで……」

どうせいい返事は返ってこないんだろうなあ、と。

＿＿＿「うん、じゃあね」

「……え？」

返ってきた言葉に驚く。

この人なら『行かないでえええ』って泣き叫んでもおかしくなかったけど(脳内補正)。

まあ行かせてくれるっていうなら行ってしまおう。

私は足早にその場を離れた。

＿＿＿＿＿＿
＿＿＿

「ふうん……」

彼女が去っていく背中を見ながら、秘境の前に立ち止まっている男は、感心したような声を上げる。

＿＿＿＿『……んなっ…なっ……馬鹿ぁ……！』

彼女の、今までに見たことないほどの乱れた口調。

涙目で顔を赤くする様は、いつもガチガチに距離を保ってくる彼女の、初めての一面であった。

「＿＿あんな表情もできるのか」

男はそう呟いて＿＿＿＿顔に悪い笑みを浮かべた。