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____翌日。
「……また、お会いしましたね」
「やあ、昨日ぶりだね」
またこいつに会った。……かなりついてない。いやマジで。
「今日は秘境にいくんだ。君の力が必要なんだけど、どう?」
私は、心の中で舌打ちをする。
本当にこの男性格が悪い。
「どう?」というのは選択を迫っているのではない。命令だ。
つまり、答えは一つ。
「……承知いたしました」
……何を思っても、所詮上下関係には抗えないのだ。
「そう言ってくれると思ったよ」
黙れまじで。
______
___
「ここらしいですね」
「うん、行こうか」
無事に秘境に到着した。
ここまで手を繋がれないようにずっと前で手を組んでいたのは、我ながらナイスプレイだと思う。
____秘境に入ると、すぐにここに来たことを後悔した。
言わばお化け屋敷のような、びっくりさせられるギミックが多いのだ。
私こういうの無理なのに……。
雰囲気もおどろおどろしくて怖いし。この男は余裕そうでムカつくし。
「……つ、次は左に行ってみますか……?」
「うん、そうしようか」
なんでこいつは笑顔なの?? 悔しいんですけど??
なのにこいつ先陣切ってくれないし。
最初に行くのは部下の役目ですってか?
仕方ないので先陣を切って進もうとすると。
____ギエアアアァァ……__
「ギャッッ」
突然の叫び声に声が出る。
もっとかわいい声出せない私?
ヒルチャールぶっ潰した時の声なんだけど。
「こ、公子様………」
「たぶんヒルチャールの声だろうね、気にすることないよ」
彼はそう言って先に進もうとする。
はっ、私の叫び声がですかね???ざけんなまじ。
____多分絶対いや100%、こいつは私をからかっている。
いつもならどう考えても手を握ってくるはずなのに、今は一向にその気配がない。
理由はわかってる。
そのほうが私が怖がるから。
この男は私の反応を見て楽しんでるんだ。 なんて性格の悪い。
この男の思い通りになるのはムカつくし、なるべく怖がる反応をしたくないんだけど。
____ドサッ__
「ウワッ」
そんなことができるならとっくにしてる訳で____
「あははっ、やっぱり君はたまんないね!そんなにこの秘境が怖いかい?」
ついに煽られた。
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作者名:りんた | 作成日時:2024年2月6日 13時