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「俺の可愛い部下だ。____やめてもらおうか」
ナイフの束が何者かに握られて止まる。
誰だ、俺の邪魔をするのは____!!!!
「こ、『公子』___だと」
目の前には、執行官第11位「公子」がいた。
馬鹿な!!!!
こんな任務にわざわざ執行官が就くはずがない!!なぜだ!?!?
まさか____
「___この女のためか?」
「あ?」
「お、図星か? 分かるぜ俺もよお!!顔だけは一人前で騙されちまうよなあ!!!」
なぜか口からスルスル言葉が出てくる。
執行官でも騙されるなら、無理ゲーだったじゃねえか。
計画が失敗したのは俺のせいじゃ無かったじゃねえかよ!!
そう思えば思うほど、口角が上がっていく。
「俺もわかってれば殺してたんだがなあ!!こんな化け物みたいな女__________うがあっ」
____その瞬間、俺の体に穴が開いていた。
「お前に何がわかる」
____頭が地面に付くのを自覚した。
……ああ、今度こそ死ぬんだきっと。
走馬灯のように記憶が駆け巡る。
……いや死ぬ直前だから、走馬灯のようにじゃなくて普通に走馬灯か……。
______ああ。
くだらない、人生だったな____
______思えば、だれからも愛されたことのない人生だった。
ずっと1人きりで……寂しくて……そうだ、金と権力を使えば誰も逆らわなくて……それで……。
……それで調子乗ってファデュイを裏切ったんだっけ______
____馬鹿だなぁ俺。
何一つ上手くいかず、いたずらに部下を死なせて。
後悔してばっかりだ___
______俺は……ここが、死に時だ。
上で……部下たちに謝ろう______
俺はゆっくりと目を閉じる。
意識がなくなる瞬間、俺が見たのは____女を横抱きにして慈愛の目を向ける公子の姿だった。
「よく頑張った、リンネ」
____ああ、俺にも、こんな風に愛してくれる人がいれば……何か変わったのかなぁ……。
お前らは______
____頑張れよ。
死にゆく俺の顔には、一筋の涙が伝っていた。
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作者名:りんた | 作成日時:2024年2月6日 13時