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「おっはようリンネ!」
「やあ、リンネ殿、おはよう」
「おはよう!胡桃、鍾離さん」
ある日の正午、私は往生堂に訪れていた。
胡桃は、目を輝かせて言う。
「さてさて、あなたは一体どんなご用件で? 困ったことがあれば堂主であるこの私に、す、べ、て、お任せくださ〜い!」
「んふ、今日も商売熱心だね、胡桃」
まあ力になってやれることはないけど、と言いながら鍾離さんの向かいに座ると、彼女はあからさまに気落ちした様子を見せる。
「うん、まあわかってはいたよ? 最近往生堂の客足もどんどん悪くなってきてるし、どうせリンネも遊びに来ただけなんだろうなーとは思ってたけど?」
「悪いとは思ってるけど、でも私の任務の疲れを癒してくれるのは堂主しかいないんだよ?」
「へっ、相変わらず口が上手いようでー。……悪いなんて思ってないのは知ってますけどね!」
「ふーん? それはどうかなあ」
私たちはいつものように軽口を叩きあう。
毎回よくこの流れが出来るよなあ、と思うが、胡桃がいつも欠かさず商売かどうか聞いてくるからそうなるのだ。
そして、それを見てニコニコしてる鍾離さん。
さすが6000年も生きてるだけあっておじいちゃんっぽいなー、って思ってることは内緒だ。
そうして私たちはいつも通り談笑を始める。
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「でさ聞いてよ、前回倒した奴が……」
「ふむ、さっきからリンネ殿は任務の話しかしてないな」
「ほんとあんたは仕事人間よね〜」
「え?いやそんなことは……」
いやほかの話もしてたって。
公子様が付きまとってくるとか、最近の取引相手がみんな胡散臭いとか……。
「……あるかも」
「でしょでしょ? リンネがたまに無理しすぎてズタボロで帰ってくんの知ってるんだから」
ふん、と腕を組んでそういう胡桃。
「堂主はリンネ殿のことをいつも心配しているからな」
ここで鍾離さんの爆弾発言。
「ちょ、ちょっと鍾離さん!? それは言わないっていう暗黙の了解じゃん!」
「えっへえ? 心配してるの胡桃ぉ〜?」
ほらリンネめっちゃニヤニヤしてるじゃん!と焦る胡桃。
「違うから!!違うからマジで!!」
「はいはいそういうことにしといてあげますよー」
「もー鍾離さん〜!!」
「言ってはいけなかったのか、すまない」
こういうところ胡桃はかわいいと思う。
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作者名:りんた | 作成日時:2024年2月6日 13時