2 ページ2
____まーじで最悪だ。…まさか仕事先が被ったのだろうか。
あまりの驚きに、脳が動いてくれない。
____彼は「公子」。
私と同じファデュイであり、執行官第11位で…………いわば上司である。
何回か仕事を一緒にする機会があったのだが、この人は何かとつかめない人で、正直なところ苦手だ。…いやかなり。
本名はタルタリヤというらしい。私はそう呼んだことなんて一度もないけど。
「……近いです」
「はは、驚くかなと思って」
あと距離が近い。
「……なぜ、ここにいらっしゃるんですか」
「うーん、なんでだろう。そんなことよりあの人殺さなくてもよかったんじゃない?」
はぐらかすな。
「彼は依頼者から殺してほしいと頼まれたので」
「律儀だなあ、俺と仕事した時から変わってないね」
崖の下をのぞいて楽しそうにする彼。
なんだか昔のことを出してくるあたり気持ち悪いのだが、そんなことを忘れさせるほどの顔の綺麗さに、イケメンって得だなと思わされる。
「まだ花つけてるんだ」
……彼は私の髪についている花を触ってそう言う。
「貰い物を捨てるほど腐ってません」
一応そう返しておく。
うんでも今は花がどうとかそんなことは置いといて、ひとまずこいつと離れたい。
こんな人と仕事をするなんて、ぜえったい嫌だ。
あそうだ、ちょうどお金が足りなくなってきたし、北国銀行に行って今後の資金をもらいに行こう。
そうと決まれば行動だ。
「では私はこれで___「あ、今から北国銀行行こうと思うんだけど、君も来る?」
____は????
え心読んだ?むりなんだけど。
……でもこうなったら選択肢は一つしかない。
「……………………ご一緒させていただきます……」
ほんと嫌になる。
137人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんた | 作成日時:2024年2月6日 13時