うたの☆プリンスさまっ♪短編小説集

「そのままのお前で」 黒崎 蘭丸 ページ1

『わりぃ、今日も遅くなる。』

変則的な仕事だというのは付き合う前から分かっていたことだけれど、一緒にいる時間が無いのはやっぱり寂しい。

私が寝ているときに帰ってきて少し寝てからまた仕事に行く、それがもう一週間は続いている。

私が彼の事を見るのはテレビ番組かいつも彼が置いていく『遅くなる』という置き手紙だけ。もっと一緒に同じ時間を過ごしたい、それが今の私の想い、だがそのようなことを実際言えるはずがない。

彼は【アイドル】という仕事を真剣にこなしている、そんな真面目に仕事をしている彼にそのような我が儘は言えない。

そんなことを考えながら干していた布団を取り込んでいく。干してもなお彼の香りがする。


とても落ち着く香り


私は取り込んだ布団の上に横になると、まるで彼のあの大きな腕に抱かれている感覚におちいっていまう。その落ち着く香りのせいで睡魔に襲われそうになる。

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「っ…A」

ギシリッとベッドが軋む音がしたのと同時に自分の名前を呼ぶ声がする。私は夢か、と思い彼の夢を見るまでになるとは最早依存しているとさえにも思えてくる。

大きな手で頭を撫でられる感触がする。その手の感触が下へ下へと降りてくる。

「まだ寝てんのか？」

彼の声が聴こえた、先程とは違うはっきりとした口調「らん、ま…る？」私は思わず彼の名前を呼んでしまった。「なにかあったのか？」出会ったときでは想像もつかなかった優しい声。私の言葉に返事を返された時夢では無いという事がわかった。

「そのままのお前で2」黒崎 蘭丸→

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