ページ ページ10
*
夜が深けた今、宮の近くでは夜伽の女が歩いているのをよく見かけた。
何年経ったって、こういう仕事を見るのは嫌ね。
あの子なんて特に幼い。昔の白瑛と同じくらいの歳にも見える。
確かこの先の宮は貴族がいるはず……。
見てられないわ。あんな小さな子を行かせるなんて。
「ねぇ」
一人で歩くその小さな少女に話しかける。
廊下に兵なんていない。魔法を解いても平気だと判断した。
それにちょうどいい。
「うわっ。あのっえっと……」
「驚かないで、貴方と同じ夜伽よ」
この子の様子からしてまだまだ新米ね。
「え、あ!すみません!」
やっぱり。私の格好を見たらどう見たって夜伽の女ではないのは分かるのに。
「この先の貴族は私が相手になると言われたのだけど、服を汚してしまってね。
着替えを取ってきて欲しいの」
「そうなんですか!?それは大変です!今すぐ持って参りますね!!」
「えぇ、ありがとう」
*******************************
「持って参りました!」
「ありがとう、助かるわ」
正直、私がこんな格好をするのは少し気が引けるわね。
兄上たちが見れば頭を抱えて止めにきそう。
「汚れた召し物は私が持って参りましょう」
「いえ、大丈夫よ。それより貴方名前は？」
「名前……ですか？柚良といいます」
少し戸惑う彼女を私はにこりと笑って安心させる。
この子をこのまま夜伽にはつけたくない。
「そう、ちょうどよかったわ。貴方は明日から燈籠の油注しになるそうです。
ほかの者から文句を言われたら紅明様の命令といいなさい」
「え、えぇ……？そうなのですか？」
「そうよ。だから今日は安心して戻って眠りなさい」
柚良という少女は私の話を半分信じられないような様子で聞いていたけれど、すぐに部屋へと戻っていった。
夜伽の世界は女の世界。歳上に逆らわないのが一番いい方法だもの。
あの子は賢いわ。
さてと。
「……やっと、会えるわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あすき(プロフ) - 今でも更新待ってます！ (2020年9月29日 21時) (
レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
雑草と花(プロフ) - 紅明さんめちゃくちゃかっこいいです！更新楽しみにしてます！ (2020年3月3日 9時) (レス) id: 157490c8f1 (このIDを非表示/違反報告)
エンジョイヌ(プロフ) - 更新が再開されるまで、待ってますね！ コメントが二つに分かれて申し訳ないです…… これから応援させてください！お話書くのすごく時間かかるし大変なのは存じてます！それを承知の上で頑張れと応援させてください！ しおり挟んで待ってます！(￣^￣ゞ (2018年8月27日 0時) (レス) id: 6aa42b68c7 (このIDを非表示/違反報告)
エンジョイヌ(プロフ) - なんて素敵なとこで更新止めちゃってるんですか!!初めまして!私今日初めてこの作品を知って2時間もなしにぶっ通しでよみました!気がついたら最新話はまで来てました!それくらいこの作品は面白いです!もっとこの作品の続きが読みたいです!この作品の行先が読みたいです! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 6aa42b68c7 (このIDを非表示/違反報告)
ウォリア(プロフ) - 黒瀬のんさん» ありがとうございます。更新頑張りますね! (2018年1月22日 18時) (レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水溶液 x他1人 | 作成日時：2016年12月14日 21時
