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「すみません。紅覇がご迷惑をおかけしました」
「そういうのなら少し書庫に篭るのはやめなさい」
歳の近い紅明は話しやすい。
紅炎と違い物静かだ。けれど鋭いから兄上たちからも一目置かれている。
「そうですね。でもまだ読みたいものが沢山あって……」
困った顔をしつつ頭を掻く紅明。
ちらっと几帳を見るとそこにはピラミッドのように積み上げられた巻物と
乱雑に置かれた巻物があった。
これは……。
「熱心なのは感心する。けど、弟に迷惑かけていい理由にはならないのは確か！
物は逃げないんだから。ほら出るよ！」
グイグイと腕を引っ張ると慌てて離そうとする紅明だが
鍛えている私に勝てる訳もなく、最終的には諦めて歩いていた。
「白A殿は皇女なのですから……」
「あら、私は皇女でもあるけれど貴方の従兄妹にはかわりないでしょ」
にやりと笑ってそう返すと、紅明は降参したかのように「はいはい」と頷いた。
さて、書庫を出たらとりあえず紅明の従者を呼ばないとな。
きっと紅覇と同じく心配しているに決まっている。
「白A殿」
小さな声が聞こえて振り向くと、そこには必死に踏ん張る紅明がいた。
何をしているんだろう。もう書庫のドアの前まで来たのに。
「日に当たりたくありません。夕方までもう少しだけ篭らせてください」
きっと全身の力を使って踏ん張っているんだろう。
プルプルと身体が震えていた。
「なぜ？当たったところで何も害はないよ。むしろ貴方はもっと当たるべき」
ぐいっと引っ張る。するといとも簡単に紅明は前へと進んだ。
といっても、本人は全力で嫌がっているけれど。
「嫌だァァ！」
よくそんな元気がある。
のんきな事を考えつつ、外へ出ると紅明の断末魔が止んだ。
見ればそれで力つきたのか倒れかけている。
「あーもう」
一つしか違わない歳と、紅明の子柄な体格に感謝した。
流石に第一皇女である私が紅明をおぶっているところは見られるとまずい。
だから早足で紅明の部屋へと向かう。
……まぁ、どうしたって誰かに見つかるのは確かだから
誰かに託す事になるんだろうな。
「紅明様！」
あ、噂をすれば紅明の従者だ。
「な、なんてことを……！申し訳ありません！白A様！」
慌てる従者を宥め、紅明をわたす。
「起きたら紅覇の元へ向かうように伝えなさい」
別に、私がした事なんだ。
それで紅明が怒られるのはなんだか嫌だった。
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水溶液(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!少し話しがバラけて……最近、ようやく話の筋がまとまったのでこれからは今までよりも一生懸命頑張りますね！ (2016年8月7日 0時) (
レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 楽しく読まさせいていただいてます。更新頑張ってください (2016年8月6日 23時) (レス) id: 9f77e6e9ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水溶液 x他1人 | 作成日時：2016年7月28日 23時
