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*
白龍を抱きかかえ、白瑛が授業を受けている場所へ向かっている途中
前から白雄兄上がやってきた。
どうしよう。
少し気まづい。
「白A、白龍といるなんて珍しいな」
「あ、はい。今から白瑛のところへ連れて行くところです」
三歳の白龍が私の部屋に来るまでに体力は殆ど使ってしまったらしい。
今は胸の中で規則正しい呼吸をして眠っている。
「そうか、ならあそこの侍女に頼みなさい。少し話があるんだ」
なんの話だろう。
嫌だな。兄上の前にあんまりいたくない。
「そんな顔をするな、ほら来なさい」
「……はい」
*********
綺麗に整頓された部屋。棚にはきっちりと収められている巻物。
昔白瑛と作った絵がまだ部屋に飾られているのを見て少し驚いた。
だってもう捨ててしまったと思っていたから……。
「そこに座りなさい」
「はい」
言われたとおりに座る。
何の話をされるんだろう。
最近の私の行いで悪かった点は……。
頭の中で思考を巡らせる。怒られる覚悟は部屋に向かう途中でつけた。
「白A、そんなに怖い顔をするな」
まるで緊張をほぐすように頭を撫でる白雄兄上。
その目は怒るような目ではない。むしろ妹を大切に思っている兄の目だ。
「最近、俺を避けているだろう。その事で話がしたかったんだ」
ギクリとする。
バレていたのか。
いっそこの場から逃げ出してやろうかなんて思ってしまうほど
私はその場を離れたい衝動に駆られた。
「兄上は悲しいぞ、白A。昔は兄上、兄上と慕ってくれたのに……」
いつの話をしているんだろう。
思い返せばいつから私は兄上を避けているんだったけ。
比較されるのが嫌だという思いは強いのに、いつからかは一向に分からない。
「白A」
ふいに兄上が私を抱き上げた。
思わずびっくりして兄上を見ると、表情は優しく笑っていて
昔の頃の記憶が呼び覚まされたような気がする。
「は、白雄兄上……?」
気づけば私は兄上の膝の上で抱えられている。
逃げられる事はおろか、距離を取る事もできない。
「少しは甘えなさい。俺と白蓮はまだ歳も近い。そして白瑛と白龍も。
昔は俺たちに甘えれたが、今では妹も弟もできて甘えられないんだろう?」
兄上の心臓の音が耳に響く。
声を聞いていると不思議と落ち着く。
そうだ、なんで忘れてたんだろう。ちょっと前まで大好きだった兄上の事。
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水溶液(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!少し話しがバラけて……最近、ようやく話の筋がまとまったのでこれからは今までよりも一生懸命頑張りますね! (2016年8月7日 0時) (レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 楽しく読まさせいていただいてます。更新頑張ってください (2016年8月6日 23時) (レス) id: 9f77e6e9ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水溶液 x他1人 | 作成日時:2016年7月28日 23時