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「大丈夫!?ごめんね、大丈夫?」

「もう!A姉、どうしたの!!」


トスン!っと紅覇が床を踏む音が響いた。


「ごめんね!……あっ!申し訳ありません!紅覇殿」



つい敬語が崩れる。
すると、紅覇は寄せている眉の皺をよけいに深く寄せた。



「もう、せっかく懐かしい言葉だったのに!」

「えぇっ!?えっと、あ、あの紅覇殿?」

「やだ、紅覇!」


しまった……。
普段は聞き分けのいい紅覇だけど、自分にアドバンテージがある時は違う。


「もう……分かりました。紅覇、ごめんね」

「うん、いいよ」


自分より、一回りも歳の違う義弟にこんなにも振り回されるとは……。
いや、悪いのは自分だけど。

思わず笑顔がひきつる。

けれど、目の前で満足げに笑う紅覇を見るとその表情もだんだんと変わっていく。


「もう言いませんからね」

「えぇーどうしてぇ?」

「どうしても!」


これ以上はダメ。
紅覇も分かったらしく、それ以降は拗ねた顔をしながらも聞き分けてくれた。


さて、そろそろ行こうかな。



「じゃ、紅明のところに行ってきますね」

「うん!」


手を振る紅覇に小さく手を振りつつ頭を少し下げる。
ほんとは紅覇に答えてしっかり振りたいけど、そうもいかない。


……さてと、切り替えよう。


前を向き、早足で紅明の部屋へと向かう。
さっきの紅覇の話は聞き捨てならない。

まったく、紅覇経由で話を聞かされたから恥ずかしい。

けれど人伝えにそういった自分のいい話を聞くと嬉しいとも思う。


紅明に会ったら紅覇にこれ以上言わないように注意しなきゃ。
紅覇が従者や侍女にうっかりそれを溢すと噂が出てきてしまう。

宮中はそういった噂が大好きだし。



「紅明殿はいらっしゃいますか」


部屋の前にいた忠雲にそう尋ねる。
すると忠雲は手を組み、膝を折りながら答える。


「紅明様はいらっしゃいます。しかし、恐れながら申し上げますと疲労でお会いできるような状態 ではありません」

「それは紅明殿が休んでいるという事ですか?」

「いえ……そういう訳では……」


罰の悪そうに話を濁らせる忠雲。
この様子だと恐らく……。


「主人に命じられて、人を寄せるなと言われているのですね」


威圧するように抑揚をつけ、少し眼光を強めると忠雲は黙った。
よっぽど、紅明の事を尊敬しているのね。普通こんないい方されれば口を割るのに……。

思わず心の中で苦笑いする。


「紅明殿は貴方のような従者がいて、幸せ者だわ」

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水溶液(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!少し話しがバラけて……最近、ようやく話の筋がまとまったのでこれからは今までよりも一生懸命頑張りますね! (2016年8月7日 0時) (レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 楽しく読まさせいていただいてます。更新頑張ってください (2016年8月6日 23時) (レス) id: 9f77e6e9ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水溶液 x他1人 | 作成日時:2016年7月28日 23時

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