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「それと、お前に聞きたいのだが……。紅明の噂は聞いているか?」
紅明の噂……?
「いえ……。何かあったのですか?」
「俺がいない間政策も軍議も任せていたからな……」
あぁ、そういう。
でも寝不足で困っているという噂なんて聞いてないけど……。
無理をしては身体に悪いのは明らか。
「心配ですね、あまり休む様子が無ければ一喝いれて無理にでも休ませましょうか?」
「あぁ、そうしてくれ。あいつはお前のいう事はよくきく」
そりゃ……まぁ、数年間一緒に仕事をしてたから……。
にしても、久しぶりに会いにいくなぁ……。
「今日の仕事は俺が代わる。そう伝えてくれ」
「あら、紅炎殿も帰還するのにお疲れでしょう?できる事があるのなら代わりに私が仕事をしますよ」
軍議はともかく、政策程度なら私だってある程度できる。
「いや、いい。それよりも紅明を頼む」
「そうですか……」
なんだか力になれない気がしてやるせない。
でも、紅炎殿にそれをいうのは気が引ける。
「あと、紅明はもう弟と思わない方がいいぞ」
礼をしてその場を去ろうとした時に忠告された。
弟って……どういう?
「紅明も立派な皇子として成長している。頭の回転も普段は俺も負けるほどだ」
「そ、そうですか」
理解できない私を尻目にまた変に笑う紅炎殿。
これはまだ理解できなくてもいい、っという意味なのだろうか。
「では、失礼しますね」
「あぁ」
*******
紅明に会うべく、廊下を歩いているとパタパタと走ってくる音が聞こえた。
白龍?いや、あの子はこんな足音じゃない。
ジュダルはもっと激しい足音だし……。
「A姉!」
声と共に身体が少し揺れる。
あぁ、そうだ。この声は……。
「紅覇殿、どうなさりましたか」
従兄妹の可愛らしい姿に思わず笑ってしまう。
そういえば、この子も白龍と歳が近かったな。
「もう、その話方やめてって前いったしぃー」
ぷうっと頬を膨らませる姿は愛らしく、笑みが溢れる。
白蓮兄上もこんな気持ちだったのだろうか。
でも、私の幼少期はこの子ほど可愛気があったとは思えないなぁ。
「でも、貴方ももう10歳なら仕方ないとお分かりでしょう?」
そういうと紅覇は困ったような、拗ねたような顔をする。
本当は……わかってるんだろうな。
こんな幼い子に身分を押し付けるのは心苦しい。
けれど、皇子となった以上これは避けられないのだ。
「ごめんね」
「……うん」
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水溶液(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!少し話しがバラけて……最近、ようやく話の筋がまとまったのでこれからは今までよりも一生懸命頑張りますね! (2016年8月7日 0時) (レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 楽しく読まさせいていただいてます。更新頑張ってください (2016年8月6日 23時) (レス) id: 9f77e6e9ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水溶液 x他1人 | 作成日時:2016年7月28日 23時