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「兄上を泣かした人なんて初めて見ました」



あれから別れ、紅明の部屋へと戻る時に紅明が困ったような口調でそういった。

多分、本当だったら私は禁固刑にされてもおかしくないでしょうね……。



「見ていてなんだか嫌だったんです。そう思わない?」

「それは……」


私達皇族がどれほど自己犠牲を払ったって、目の前の欲に溺れる者にはそれが通用しない。

きっと紅明だって私だってそうだ。


そんなの耐え切れる話じゃない。
耐えているように見えて、どこかで発散してる。


それが戦であったり、周りとのコミュニケーションだったり。

紅炎殿は戦でそれを発散するような人じゃない。
むしろ、こうやって話して発散する人。



「さて、あぁ言ってしまったからには私も戦場に出る事になるかもね」



こんな空気がずっと続くのは嫌だ。
冗談混じりに紅明にそういってはぐらかす。



「そうなったら私が意地でも止めますよ。貴方は私と軍師になってもらわなくては……」

「あら、戦力不足って言いたいんですか?」

「いえ……そういう訳では……」



ふふっ、困ってる困ってる。


髪を掻いて唸る紅明に私は笑った。


数年後になればこうなれないかもしれない。だからこそ、今を今で噛み締めないと。



「白龍にもしっかり教えないと。白瑛はこれからどうなるのかしら……」

「貴方はいつも兄弟の事が頭にありますね」

「あら?当たり前じゃない。
 二人が真っ当に皇女、皇子として生きてもらわなきゃ、兄上に怒られるもの」



勿論、あの二人だけじゃない。
紅明も紅炎も真っ当に生きて欲しい。



「にしても……戦争になれば練家の子孫はどうなるのでしょう。
 先程の話に似てますが、嫁ぐのならばどこかの国ですか?
 でも、そうなればもし世界を統一した時に世界をかけて継承者争いが絶えないはず……」


確かに紅明の言っている事は的を射ている。

練家という名を掲げてそうされるのは不愉快だ。
それに、統一した世界がまたそうやって争われるのは不服極まりない。



「一番てっとり早いのが紅炎殿の御子息でしょう。
 でも、それもどうなるか……。難しいですね、戦争は人の心も荒ませる」

「それも、また人間の心理なのだから仕方ありません」

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水溶液(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!少し話しがバラけて……最近、ようやく話の筋がまとまったのでこれからは今までよりも一生懸命頑張りますね! (2016年8月7日 0時) (レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 楽しく読まさせいていただいてます。更新頑張ってください (2016年8月6日 23時) (レス) id: 9f77e6e9ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水溶液 x他1人 | 作成日時:2016年7月28日 23時

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