ページ ページ26
*
「貴方は白瑛殿を具体的に守る方法を考えていますか」
白瑛を……？
「私は白瑛が好きな男と結ばれるように、手を回すか自分が代理で婚儀を交わすか……ですね。
あの子も女性ならそれが一番の幸せでしょう」
「では、白瑛殿がもし庶民の男が慕えばどうしますか？」
庶民……!?
思わず顔に困惑の表情が出る。
その顔を見て紅明は表情一つ動かさないが、それが私への焦りへと変わった。
「兄上も私もいづれ戦地に赴く事になるでしょう。そしてその場で首を切られる可能性もある。
白龍殿も男ならいづれ最前線で指揮を取る場合だって出るかもしれません」
先程とは全く違う話。
けれど、紅明はこれを前置きにして一番言いたかった事をあえて言わなかった。
言いたい事は……なんとなく分かる。
けれど、それを認めれば私は言い返せない。
「この国の皇女として生まれたからには守ると言っても無理があります。
白雄殿が守ってくれと言ったのに、貴方の意見では守るを通り越して自分のエゴになってません か？そしてそれがいづれ彼女達の重荷になると予測します」
「……確かにエゴかもしれない。命をかけて戦場にいく男性がいるのに、女性だけ甘い蜜を吸うの は不平等。けれど、せめて白瑛にはよい男性と結ばれて欲しい。その願いはおかしくはないで しょう？傲慢な貴族に嫁いであの子が辛い思いをするのなら、私が代わります」
紅明の意見は的確だった。
反論できない話で、何より兄上は守ってくれと言われたのにそれ以上の気持ちを彼女に与えていた。
……知らないうちに兄弟に依存して、兄上の使命を掲げていたのか。
自覚すると、今までの行動が恥じに思えてくる。
「そうですか、じゃどんな相手とも白瑛殿が嫌だと思った相手なら代わりますか？」
「それは勿論です」
考えるまでもない。
それは兄上だって望んだ範囲の事だ。
兄上達が否定するであろう事と確信が持てるものなら、否定する。
「分かりました、ではこの書類をみてくれますか」
厚い紙の束はまだ書かれてまもなく、柔らかい。
恐らく今日の午前か、昨日に書かれたもの。
「これは？」
「これは、煌帝国の貿易や商売をするのに有力な貴族達です。
父上は、貴方を貿易や商売をまとめる皇女にしたいそうです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水溶液(プロフ) - リンゴさん» ありがとうございます!少し話しがバラけて……最近、ようやく話の筋がまとまったのでこれからは今までよりも一生懸命頑張りますね！ (2016年8月7日 0時) (
レス) id: 286a4cd632 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 楽しく読まさせいていただいてます。更新頑張ってください (2016年8月6日 23時) (レス) id: 9f77e6e9ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水溶液 x他1人 | 作成日時：2016年7月28日 23時
