2話 ページ3
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一人暮らしの部屋は、夏なのに寒く感じる。
自分以外の体温が存在しない空間、自分しかいない空間、まぁ嫌いじゃないんだけど。
その時、突然、ふわっと後ろから抱きしめられた。
その時香ったのは、大好きで私を一気にリラックスさせる昔から知っている匂い。
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『...うらたん、いくら合鍵持ってるからって何も言わずに来ないでよ、』
首筋に彼の、茶色い髪が触れて
くすぐったい。
その彼はクスッと笑って私に言った。
「え、来ない方が良かった?」
『違うよ、そうじゃなくて、』
「じゃあ、なんて言うの?」
うらたんのこういうところが、好きでもあり嫌いでもある。この意地悪さが、私を惑わせていくから。
...でも、幼い頃からこうされていると、自然と口から出るのは彼の求める言葉。
『...来てくれて、嬉しい、よ。』
「そう、それ。
ちゃんと言えるじゃん、いい子。」
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そうしてやっと彼が私から離れたと思ったら、なにか首に違和感を感じた。
なにか付けてるような、でもネックレスなんて付けてない...え、ネックレス?
「こないだ誕生日だっただろ?
遅れてごめんな、俺からのプレゼント。」
『...こんな綺麗なの、、』
それは、血のように真っ赤な薔薇が小さくついているもので、とても綺麗だ。
彼は、私が薔薇が好きなことを知っていて、これをくれたのだ。
そんなことしてもらったら、嬉しくて
嬉しすぎる。
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『すごく嬉しい、...ありがとう!!
大切にするね。』
「あぁ、すげぇ似合ってるよ。」
──お前の、その白い首によく映える赤だ。
そう言って額にキスを落とした彼の目が、
いつもと違っているように見えたのは、きっと気のせい。
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なすび(プロフ) - いっっったそっ!と思いながらもウッヒョぉーなんて言いながら読ませてもらってます更新頑張って下さい! (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5a02bd7bfb (このIDを非表示/違反報告)
わか - うっ...。自分がこんな立場にいたら絶望するけどうしさせだからいいんだ...。語彙力ありまくりですよ...。ありよりのありですよ..。これからの展開が楽しみです..(瀕死)。 (2020年7月2日 17時) (レス) id: 10b66fbb96 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 桜さん» ああ、勿体ないぐらいのコメントありがとうございます!感情については頑張っているところでもあるのでそこに触れて頂けると本当に嬉しくて、、更新頑張れます!!笑 嬉しいお言葉ありがとうございます!! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d01fc0ec58 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 素敵な作品ですね…!センラさんの反比例する感情の書かれ方とか坂田さんの純粋さに隠れた狂気も、主人公の絶望の中で希望を捨てきれない複雑な心情も読んでいて引き込まれます…更新頑張ってください!楽しみにしております! (2018年12月18日 20時) (レス) id: ee303c023d (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 心愛さん» ありがとうございます!!どんな形でもバッドエンドにはしないので、これからもよろしくお願いします!! (2018年12月1日 22時) (レス) id: d01fc0ec58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年10月7日 0時