◇◆好きでごめん◆◇ (ページ9)

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『櫻井さん！』

「ん？」

マネージャーが、俺のもとに走ってくる。

『これ、ファンレターに紛れてました』

と言われ、差し出された一通の手紙。

シンプルな淡いピンクの封筒。

「紛れてたって…普通のファンレターじゃないの？」

『あの、中身みたら……ただのファンレターじゃなくって』

「どうゆうことだよ(笑)」

『ま、とにかく家で見てくださいね？』

「ん。了解」

ファンレターを受け取り、差出人を確認する。

が、住所も名前も書かれてなくって

綺麗に書かれた俺の名前と事務所の住所。

なぜだか、その字に懐かしみを覚える。

あれかな、頻繁にくれる人とか。

そんな軽い気持ちで鞄のなかに手紙を閉まった。

「お疲れー」

『お疲れ様です。明日は…お昼からですね』

「昼からか…ゆっくり寝よっかな」

『そうですね。それがいいと思います』

「じゃあ、帰るわ」

『はい、明日、一時頃、迎えにいきます』

今日、歩きだったな。

なんか、歩きたい気分だったから。

暗い夜道を歩く。

何だか、新鮮で気持ちが弾む。

車って、案外退屈だったりするんだよな……

車だと結構長く感じる帰り道も

歩くと、少し面白くって短く感じた。