第二十三話：騙したね ページ25
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両者が死を覚悟してから数秒。
爆破音も訊こえず、光熱も襲ってこない。
違和感を覚えた二人が伏せていた眼を開けると、国木田、太宰、爆弾魔の男が何故か平然と立っていた。
『............................はァ？』
この状況が理解出来ないのか、Aは声を洩らす。
「やれやれ...小娘は自ら肉壁になろうし、小僧は爆弾に覆い被さるとは」
「ジサツ
国木田は深く溜め息を吐き、太宰はお馴染みの薄笑いを二人に向けた。
如何してそんなに平常な顔をするのか。
「へ？................え？」
今度は、敦が声を洩らした。
するとAの後ろに匿われていた人質の少女が、爆弾魔の男に突進して抱きつく。
「ああーん兄様ァ！大丈夫でしたかぁぁ！？」
「
人質と犯人が親しげに接すると云う異様な光景に、敦はポカンと口を開けたまま停止する。
一方のAは、何か察したのか太宰を見た。
『──────騙したね』
咎めるような鋭い目つきに、太宰は「そう怒らないでくれ給え」と宥めるように微笑んだ。
敦は彼女の発言により、一層どう云う事か判らなくなる。
「..............へ？」
「小僧、小娘。恨むなら太宰を恨め」
国木田は壁に凭れ掛かると腕を組み、
横の太宰を顎で指した。
「若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」
「そう云うことだよ二人共。つまりこれは一種の───
─────入社試験だね」
「入社.........試験.......？」
「その通りだ」
突然、その声と共にドアが開いた。
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作者名：椿 | 作成日時：2024年4月16日 20時
