第二十話：爆弾魔 ページ22
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「厭だァ.....もう厭だ.........」
ガタガタと小刻みに身体を震わせながら、若めの男は卓の上でぼそぼそ呟く。
片手には、スイッチが握られていた。
「全部お前等の所為だ....『武装探偵社』が悪いンだ！」
男は、人質のセーラー服を着た少女を自分のもとに寄せて突然荒げ始めた。
「社長は何処だ！早く出せ！でないと──────
爆弾で皆吹っ飛んで死ンじゃうよ！！」
「あちゃー」
横長の長方形の
国木田は冷静にこの状況を説明し始める。
「怨恨だ。犯人は探偵社に恨みがあって、社長に会わせないと爆破するぞ、と」
「ウチは色んな処から恨み買うからねぇ」
太宰は
「うん....あれ
何故こんな物騒な処に連れて来た、とAは思った。
「爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど...この状況じゃなぁ。どうする？」
「社長に会わせてあげたら？」と呆けた事を云う太宰を国木田が青筋を立てて一喝すると、
さてどうしようと真面目に考え直す。
「......人質をどうにかしないと」
そう云ったと同時に、国木田と太宰は、敦とAの目の前でじゃんけんをし始める。
それを三回ほど繰り返したのちに、太宰が勝った。
「チッ」
負けた国木田は眉に皺を寄せ、大股で革靴を鳴らしながら爆弾魔の男のもとに向かう。
それを太宰は愉しむように眺めた。
「おい。落ち着け少年」
「来るなァ！吹き飛ばすよ！」
近付いた処で、男は手元にある爆弾のスイッチを押すとばかりに持ち直す。
国木田は両手を挙げてその場で止まるほかなかった。
「知ってるぞ。アンタは国木田だ！アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うンだろ！？」
「妙な素振りをしたら皆道連れにする」と、男は気が動転した様子で叫んだ。
男と話し合いで交渉することは不可能そうだった。
「まずいねこれは。探偵社に私怨を持つだけあって、社員の顔と名前を調べてる。社員の私が行っても余計警戒されるだけか....
不意に、太宰は敦とAを交互に見る。
そして、企んだように、にんまりと口角を吊り上げた。
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作者名：椿 | 作成日時：2024年4月16日 20時
