Lesson : 1 ページ1
.
昔から、かっこいいものが好きだった。
可愛いものよりかっこいいもの。
ロングヘアよりショートヘア。
｢優樹くんおはよう！｣
｢ゆうくんおはよ〜｣
そんな人生を歩んできた僕は、呼ばれ方はくん付が多い。
――相川優樹。一人称や呼ばれ方は男だが、正真正銘の女だ。
周りより短く切られた髪。シャツは皆と同じだが、スカートじゃなくて指定ジャージのズボン。一人称は｢僕｣。
女というものからかけ離れているが、正真正銘の女だ。……男に間違われた経験は数しれないが、女だ。
｢おはよう、皆｣
挨拶してくれた皆へニコリと微笑みながら返事をする。ふと周りに視線を移すと、皆可愛いものを身につけていた。
『可愛いもの』
もちろん興味はあるが、似合わないと分かっているため身につけない。５歳の頃、従兄弟に｢似合わない｣と爆笑されたのは今でも覚えている。
クソ男め、僕は忘れていないぞ。
軽くため息を吐きながら、自分の席へと着く。
｢ゆーうきっ！｣
｢うわぁっ！？｣
荷物をおろしゆっくり腰掛けていると、急に肩をドシッと叩かれて思わず驚いた声が出た。
｢なんだ、小春か。驚かすなよ……｣
｢えへへ〜。めんごめんご｣
｢軽すぎか｣
後ろで結んだポニーテールを揺らしながら無邪気に笑う彼女は、藤本小春。『幼馴染み』と呼ばれる存在だ。
そんな彼女は、まだ来ていない隣の席に豪快に座る。
｢ちょっと小春。お前女の子なんだから、もっとおしとやかに座れよ。だから彼氏が出来な――アイッタ！！｣
言いかけた所で、小春に脛を蹴られた。
｢余計なお世話よ！ それに、優樹こそ女の子らしくしたらいいじゃんか｣
｢僕は今更だから｣
｢あっ、こんな話しに来たんじゃなかったや｣
｢もう……。こんな話って、なんかあったの？｣
いつもの雑談を｢こんな話｣で一蹴りするくらいだ、なにかあるのだろう。
まさか、おばさん――小春の母さんになにかあったとか……？ いや、そんな話なら真っ先に泣きながら飛びつく。うーん、見当がつかない。
｢今日の放課後、事務所来れる？｣
｢え？ 別にいいけど｣
小春の家は芸能事務所。幼馴染みだった僕は、事務所の方へ遊びに行くと小春と共にダンスや歌を教えて貰ったのは懐かしい思い出だ。
｢じゃあ、放課後ウチにいくから！｣
念押しする様に指を指してきた小春は、言い終えると自分の席へと戻っていった。
一体、何があるんだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
林胡。(プロフ) - 猫田さん» コメントありがとうございます！不定期更新なためお待たせする事が多々あると思いますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです (2017年8月22日 14時) (
レス) id: ebda197f1f (このIDを非表示/違反報告)
猫田 - めっちゃおもしろくて、続きが気になります！ 更新、頑張ってください！ (2017年8月19日 8時) (レス) id: 20c6f32d8a (このIDを非表示/違反報告)
林胡。(プロフ) - 天夜梨夢@梨璃とペアネ中さん» コメントありがとうございます！ 不定期更新なため、お待たせする事が多々あるかと思いますが気長にお付き合い頂けると嬉しいです。 (2017年8月8日 17時) (レス) id: ebda197f1f (このIDを非表示/違反報告)
天夜梨夢@梨璃とペアネ中(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください♪応援してます！ (2017年8月8日 15時) (レス) id: 3093d7cd0f (このIDを非表示/違反報告)
リト - 林胡。さん» 了解です(*^^*ゞ 待たせて頂きますよいつまでも← (2017年6月30日 15時) (レス) id: 806e39f599 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
