第68話「顔見知り」 ページ26
軽口を叩きながら烏丸と共に焼肉店へ入店。
「お二人様でよろしいでしょうか?」
生暖かい目線を向けながら案内されるがままに席へ向かう。
焼肉のいい匂いが店内中に広がり腹の虫が鳴きそうになった。
( 焼肉なんて3年くらい来てなかったけど、これは中々…… )
早いところ食べたいと少し焦りながら鞍瀬たちが席に着くと横の座敷席の方から騒がしい声が聞こえてきた。
「おれははやじにしたわけじゃない!それにその分うたがわたちががんばってくれた!」
「あーー!わぁったわぁったから!これ以上騒ぐんじゃねぇよ!」
「うるさいぞ!きゅーぶになったくせに!!」
「おい!!それは関係ねぇだろ!!」
どうやら相当酔ってるらしい。
注文を完了しお冷が運ばれてきた頃、鞍瀬はどこか聞き覚えのある声に耳を傾けていた。
「気になるのか」
『どこかで聞いた声のような気がして。多分勘違いだと思うから気にしなくても……』
「いや、これは嘘抜きで座敷の席にいるのは顔見知りだと思うぞ。俺とも、鞍瀬とも」
『は?私の知り合いに焼肉店に来て酔っ払った挙句叫ぶような人はいないと思うけど』
鞍瀬は友人や知り合いが少ない分、ひとりひとりの事をよく知っているつもりだ。
烏丸はもちろん、空閑やレプリカ、三雲や迅だって酔っ払って大声を出すタイプでは無いことくらい分かっている。
三雲や空閑、迅に関してはお酒なんて飲めない。
酒を飲める知り合いと言えば唐沢営業部長や忍田本部長、鬼怒田開発室長辺りだろうがその人達に限っては仕事に追われている筈だ。
なら一体誰が?
「いいか!!おれはおまえがいうほどよわくない!!うたがうならしょうめいしてやる!」
「わぁってるって!!お前が強いことくれぇわかってっからやめ……!!」
その慌ただしい声とともに座敷の襖が開く。
そこからトリオン体で出てきたのは紛れもない、鞍瀬と烏丸、両方の知り合いだった。
「ん?……烏丸に、鞍瀬?」
『何やってるんですか、風間さん』
両の手にはスコーピオン、腰に巻きついているのは彼と飲み会をしていた人だろう。
顔は赤く染まり、目は半分ほど閉じている。
確かに顔見知りではあった。だが顔見知りとは言っても、そこにいるのは鞍瀬の知る風間蒼也では無かった。
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黒瀬(プロフ) - カナデさん» 返信遅くなりすみません!待って頂けたなんて凄く嬉しいです!ありがとうございます!頑張ります! (3月3日 6時) (レス) id: b8635cad8f (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - 更新再開嬉しすぎます!頑張ってくださいー!! (2月2日 2時) (レス) @page34 id: dcadc39e75 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - カナデさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんの言動は試行錯誤しているのでそう言って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2022年8月25日 6時) (レス) id: b8635cad8f (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - この夢主ちゃんの性格めっちゃ好きです。これからも作品更新頑張ってください、応援してます。 (2022年8月24日 14時) (レス) @page22 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 夏目宮さん» 申し訳ありません。ご報告ありがとうございます。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: b8635cad8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒瀬 | 作成日時:2022年6月7日 0時