[番外編]安室透の名前を呼ばない理由 ページ10
〜安室side〜
先輩は俺と再会してからはポアロにほとんど毎日通うほど常連化していた。(もちろん夕方にだが)
今日もいつも通りカウンターの席に座って俺の作ったハムサンドをもきゅもきゅと美味しそうに食べている。
そんな姿は作っている俺も見ていて嬉しい、なにより癒される。
・・・そういえば一つ気になってることがあるんだよな。
・・なにかって？もちろん先輩の”僕”に対する呼び方のことだ
先輩は”安室透”のことを名前で呼ばない、いつも”店員さん”と呼ぶ。
その呼び方に少々疑問を感じていた。もちろん先輩のことを疑っているとかじゃなくてただ単に気になっているだけだが
まあ本人に直接聞くのが早いか
俺達の他に人が居ないのを確認して先輩に話しかけた 。
「玲佳さん、僕少し気になってることがあるんですが・・。」
「・・何ですか?」
「なんで僕のこと名前で呼んでくれないんです？」
俺がそう聞くと目の前の彼女は”なんだそんなことか”と言わんばかりな大きなため息をついた
「・・・別に理由はないですけど・・強いて言うなら」
そこまで言うと彼女は真剣な表情で俺の顔を見つめる
「”安室透”も”バーボン”もどちらも貴方だからですかね」
今、先輩が言った”貴方”というのはおそらく”俺”のことだろうすると彼女は更に言葉を続けた
「・・なのでどうせ呼ぶなら降谷零としての貴方を呼びたいです。ですから「チリン」梓さんが帰ってきたようですね、では私は帰ります」
だが、運悪く梓さんが帰ってきてしまったので続きは聞けなかった。
先輩が会計を済ませて帰るときすれ違いざまに彼女は少し微笑みながら俺にこう言った
「＿＿＿＿＿＿＿」
その言葉に思わず地面にへたりこんでしまった
「あ、ちょっと安室さん？だ、大丈夫ですか？！」
上から梓さんの心配する声が聞こえる
＿＿ですから次に本当の姿で会った時は名前、たくさん呼んであげますよ貴方が本当の自分を忘れないためにもね。
(ホントに彼女には敵わないな)
心からそう思う
〜番外編END〜
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