26:思い溢れて ページ28
日和様の、柑橘のアロマの香りに包まれると今度は安堵の涙が溢れた
私を抱きしめる日和様の肩は震えていた。目線を落とすと、日和様のズボンが泥だらけで、走って探してくれたのだと分かる
いきなり日和様の両手で顔を覆われ、無理やり目線を合わせられた
｢駄目だね！僕が来たのに泣くなんて悪い子だね！いきなり手紙なんか残して！心配したね！｣
日和様が声を荒らげて怒鳴ったのは初めてのことで、その言葉からは心配していてくれたんだと分かる
『ごめ………なさい』
日和様に迷惑かけたくなくて家出したのに、結局迷惑をかけているのだから本末転倒だ
泣きっ面を見られたくなくて顔を背けると、今度は優しい声が降ってきた
｢…………本当に、心配したね………Aがいなくなったら僕は生きていけないんだからね…｣
『えっ、今………なんて………？』
聞き間違いだろうか、今、日和様の口からぼそっと聞こえた言葉に耳を疑う
｢あーもう、恥ずかしいね！……1回しか言わないからよく聞くんだね！｣
そう言って私の顎をクイッとすくうと、視界が暗くなった
それと同時に唇が温かくなるのを感じた
｢んっ、涙の味がするね……｣
キスされたんだと分かり、カァッと顔が熱くなる
どうしてキスされたのか分からず混乱しながらも、キスが嫌じゃなかった自分に驚く
そっか、私………日和様のことが好きだったんだ……
ずっと、日和様の執事として……所有物として生きていたから、日和様を好きになってはいけないと、自分の心を制御していたんだと気付く
｢僕はね、Aを買ったあの日から君が好きだね……それは執事として、仲間として、プロデューサーとして、家族としての愛情だと思ってたけどね……僕はAを恋愛対象として好きだね……｣
『っ、』
涙が溢れてきた。夢を見てるんじゃないかと言うくらい幸せで、涙が止まらない
｢あーあー、せっかく綺麗な顔なのにね！そんなに泣いたらブサイクになるね！｣
そう言ってハンカチを手渡してくれる目の前の彼は、私を好きでいてくれている。これ以上幸せなことは無い
『私、日和様に、迷惑かけたくなくて……トラウマが克服できない自分が嫌で……逃げ出したんです………ごめんなさい！』
日和様は頷きながら背中をさすってくれた
"Aはよく頑張ったね"そう言われた瞬間、嬉しさが溢れて、日和様の胸で声を上げて泣いた
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箱推しになりがち人間(プロフ) - 初コメ失礼します。伏見君は多分生徒会ではないと思います。姫宮君の手伝いをしているだけだったと･･･違ったらすみません。とても面白いです。頑張って下さい。 (2022年4月9日 17時) (
レス) @page15 id: 9c39c484b8 (このIDを非表示/違反報告)
クテシフォンらるるん(プロフ) - Kazu-mochiさん。初めまして、クテシフォンらるるんです。この度は本作をお読み下さり、ありがとうございます。確認したところ、閣下ではなく、殿下でしたので、修正致しました。ご指摘ありがとうございます！これからも、楽しんでいただけるよう、頑張ります。 (2021年2月22日 20時) (レス) id: 35ac981bdf (このIDを非表示/違反報告)
kazu-mochi(プロフ) - 初めまして！素晴らしい作品をありがとうございます！日和くんの小説は読んでいませんでしたが、とても面白かったです！(あと、茨くんが日和くんを呼ぶときは閣下ではなく殿下ですよ。閣下は凪砂くんです！間違ってたらすみません(；´Д｀)これからも応援してます！) (2021年2月18日 16時) (レス) id: 2505b4e935 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クテシフォンらるるん x他1人 | 作成日時：2021年2月11日 7時
