千秋さん！私、アイドル嫌いなんで！ (ページ5)

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3:家庭事情ページ5

アイドルなんて嫌いだ……

お父さんもお母さんも、アイドルになったせいで変になった

小さい頃は優しかったのに………

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転校初日の放課後、家に帰るといつも通りに静まり返っている

おばあちゃんのお仏壇の前に座って手を合わせる

電気の付いていない暗い部屋。散乱した雑誌や服

ガチャッと音がして、振り返ると父がいた

『お、おかえりなさっ｢ゴンッ！！｣』

ああ、またこれだ。頭に鈍い痛みが走って、手で頭を抱える。昔はこんなんじゃなかったのに……

父はアイドルの仕事が忙しくなってから、こうして暴力を振るうようになった

ゴンッゴンッゴンッと鈍い音が部屋に響く

『ごめ、なさ……』

震える声で謝っても、暴力の雨は収まらない。

ガチャッという音がして、母が帰ってきた

『お母さ……助けて………』

お母さんに助けを求めても無駄なのに、助けを求めてしまう。

母は父に殴られる私を見ると、ビクビク怯えながら自分の部屋に逃げてしまった

暴力が始まったのは私が中学生の頃

大好きな父と母がテレビで活躍する姿が好きだった。歌って踊って……人に幸せを届けるアイドルが大好きだった。

仕事で帰りが遅くても、おばあちゃんと一緒に待っていれば悲しくはなかった

でも父はアイドルとして有名になると、亭主関白になり、おばあちゃんやお母さんに暴力をするようになった

飯がまずいだの、ビールが冷えてないだの、部屋にホコリが落ちてるだの………

お母さんだって仕事で忙しく、おばあちゃんも体が弱いから家事をするのは大変なのに……

日に日に偉そうになる父が嫌いになった

そしてある日、父は母の顔を灰皿で殴ろうとした

私は母を庇った

でも、その日を境に、父は母から私に標的を変えて、毎日のように暴力を振るうようになった。

おばあちゃんはすぐに他界してしまい、母も標的が私になったことで、自分が殴られないために私を無視している

アイドルなんて……芸能界なんて……………大っ嫌い！
お父さんなんて……お母さんなんて………！！

なんとか顔だけは死守した。暴力が終わると、父は自室に戻る。母も自室にいるので、一人で傷を手当しながら、コンビニで買ったメロンパンを食べた

1人は慣れている……
だから、寂しくなんてない……………