22話 ページ22
『……タクシーが全然いない……』
寒空の中、白い息を吐きながら思わず独り言である。
なんていう運の悪さだ。近くで何か飲み会でもやってるのだろうか。ってレベルでタクシーが捕まえられない。平日なのに。
と、キヨさんから通知が来てるのを思い出した。
『コンサートってすげえな。結構ガチ?それとも一般が見ても楽しいやつ?』
『俺、アイドルとかのライブしか行ったことないからわかんねえや』
「……もしかして来たいのかな」
淡い期待を抱いてしまう。
でもおこがましいよなぁ。
とりあえず聞いてみて、冗談ぽく誘ってみる。
キヨさんが言い難い職業を言ってくれたのだから、こちらも何か知って欲しいという気持ちで返信した。
『いえ、今回はジャンル問わずに色んなアレンジをして歌うんです。最近の曲も少し歌うし、子ども向けも歌うので、結構人気なんですよ』
『この辺にある○○ホールでやります。ちなみに無料なので誰でも来れます』
どうですか?というスタンプも送ってみる。
……じゃないんだよ。タクシーを呼んでくれ私。
でも電話も混み合ってるのか、繋がらないんだよなぁ。
『まじか、じゃあお前を茶化しに行くわ。日程教えて』
『てかお前、今何してんの?』
途方に暮れていると、キヨさんから直ぐに返信が来た。
『2週間後の土曜日ですよ。時間は子どももいるので1時くらいに開演予定ですけど、出入り自由に出来るので、好きな時間に来てくださいね。多分2時間か3時間くらいだと思います』
『練習終わって帰ろうとしてるんですけど、タクシー来なくて』
ずっと向こうはトークを見ていたのか、既読が一瞬でつく。
『おーりょーかい』
『え、お前大学と家の間でタクシー使うの?なんで?』
「……あー」
そういえば目のこと、何も話していない。
困ったなぁ、と思って返信に迷っていると。
『まあいいや。理由は直接聞けばいいし』
『○○大学だよな?』
「……えっ、」
『前と同じ車で行くから待ってろよ』
「ええええ!」
人が少ない時間帯でよかった。
思わず、叫んでしまったから。
✱
「じゃうっしー、俺用あるから帰るわ」
「……さては愛しのAちゃんですかぁ?」
「あーそうだよ。もうお前らに隠すとろくな事ねえから言うわ」
「待ってこの5人の中で非リアなの俺だけなん?」
「まだ決まったわけじゃないよレトさん」
「新婚さんに慰められた……!」
「キヨ。頑張ってね。応援してる」
「……まじでめんどくせぇ」
76人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「nmmn」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時