【黒執事】女王陛下の意のままに (ページ16)

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15.密室ページ16

「密室殺人ってことか」

劉がセバスチャンの代わりに言った。

こんな状況だというのに、彼はいつもと変わらぬ笑みを浮かべている。

----いや、いつもよりも、楽しそうな。

「そんなバカな…小説じゃあるまいし！」

ウッドリーが劉に言った。

「確かに、こんな稚拙な密室劇を発表しては、苦情が来るだろうな」

シエルが眠たそうに欠伸をしながら言う。

「え？」

ウッドリーは訳のわからないことを言うシエルに聞き返した。

「先生もそう思いませんか？」

「えっ…」

突然シエルに話を振られたアーサーは動揺した。

だが、そんな動揺もつかの間。

「あっ！！そうか…確かにアレを使えば」

アーサーはひらめき、ボソボソと呟いた。

「どういうこと？」

劉がシエルとアーサーに尋ねた。

「針と糸だ」

「針と…糸？」

「セバスチャンの言う通り、このドアは内側からしか鍵が掛けられないが、針と糸さえあれば外から簡単にかけられる」

シエルは皆に説明を始めた。

「まず、糸をつけた針を落とし金の傍に刺し、固定する。次に糸をドアの下にくぐらせてから、外にでる。あとは糸が切れない様に慎重に糸を引き、針を抜けば…」

「落とし金が下りて施錠できる！」

「そのままドアの下の隙間から針と糸を回収すれば証拠も残らない。針と糸なら始末も楽だろうからな」

シエルのわかりやすいトリックの説明に、皆は舌を巻いた。

「推理小説では使い古された実に単純でつまらんトリックだ。だが犯人は推理小説が書きたい訳じゃない。“現実的な目くらまし”など、こんなモノだろう」

「確かにそれで密室が成立するのはわかったけど…」

劉が口を開く。

「それってつまり、誰にでも殺人が可能だったってことじゃ…」

劉の言葉を引き継ぎ、アーサーが言った。