小麦色のサントリナ 【オリオンの刻印】

33，監督への ページ34

貰ったサントリナを自身の部屋のベッド付近に置くと黒裂はベッドに倒れこむ。意外と重かったそれは彼女を疲労させるのには十分だった。しかしクラブチームの会長から贈り物を貰えたことに内心喜びを隠しきれていないのも事実

『…そういえば鉢にちっちゃい袋が添えていたような』

ベッドから起き上がると鉢の下の方にある袋を手に取った。やっぱりあったなぁ、と思いながらも中身を覗くと"B"の形をした銀色のバッチが入っていた

『なんでB…？』

その時また彼女とイレブンバンドから着信音が鳴る。確認すると今度は全体にミーティングのお知らせだった。手に持っているそれらを机の上に置くと急いで部屋に向かうが、彼女の頭は疑問だらけだった






「ホーッホホホホ。全員集まったようですねぇ。これから次に対戦する″オーストラリア″代表の試合映像を見てもらいます」

全員が揃ったところでミーティングは開始された。この部屋は小さな映画館のようで、スクリーンもかなり大きい。趙金雲は小文に電気を消させると、持っているボタンを押して映像を流す

画面には綺麗な緑色の葉の葉脈が映っている。皆真剣な表情でそれを見る、すると不意に画面の葉が浅黒い手で揺れる

《シャチョーサン！ここハワイじゃナイネ？》

水着の女性、また同じく水着を着てビーチチェアでくつろいでいる彼の様子が流れた


趙金雲は慌てて映像を止めた、というか消したが皆からは冷めた目で見られる

「おっとこれはナターシャとハワイアンセンターに行ったときの映像でした…」

『…リア充が』

小さく舌打ちをした彼女の呟きを聞いた隣の岩戸はバッと彼女を見るが、その時にはいつもの真面目な表情を作っており岩戸も自身の聞き間違いだと流した

彼女のリア充への思いは黒い


「…実はですね、オーストラリア代表の映像は手に入れられなかったんですよ」

眉を下げて言うが申し訳ないという気持ちは全く伝わってこない。選手らからもええ〜、と不満の声が上がる

「それじゃあミーティングは…？」


「無理ですねぇ、ということで本日は解散で〜す！」

「おい！」と剛陣が呼び止めるも彼は足早に部屋を去っていき、結局円堂の一声で各自課題を克服する特訓になった



皆が部屋を去っていく中、黒裂は坂野上を呼び止める

『ねぇ坂野上君、私のBの要素って何だと思う？』

「えっ…B?アルファベットの？」

初めて彼女の方から話しかけてくれたのに、質問されたのがよくわからないもので坂野上は混乱した

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