73，暗黙の了解 ページ27
短い走馬灯のようなものが見えた。不思議な浮遊感に覆われていた黒裂だったが、つむじ風が濡れた衣服を冷やし、数メートル先にいる一星と灰崎の声が、意識を引き戻す
振り幅の短いパンチを連続して打つ灰崎だが、ターゲットの一星には当たらない。そんな様子を一星はポケットに手を突っ込んだまま、笑っていなしている。その姿はまるで風船を殴っているかのよう
感情だけで動いているが故に、動きが大振りで単調になっているのが原因なのだが、そういうものは自分では気づかないもの。灰崎の怒りは高まっていく
『灰崎君ストップ！一星君は鳥の糞で驚いて───』
「言うな！」
余裕綽々で灰崎の攻撃を避けていた一星の顔に、少しばかり焦りが見える。確実にネタにされる、本能でそう感じとった
幸い糞はまだ新しく透明の液体状のものだ。つまり、黙っていればバレない。しかし時間が立てば白くこびりついて目立つ。その前に洗濯に走ればセーフなのだ
黙っていろ、そんな意味を込めて黒裂を睨んだ
突然睨まれたことに驚いた黒裂だったが、すぐに言いたいこと察した。わかった、という意味を込めて黙って頷く
これが暗黙の了解なのだ
「…」
だが、ここでまたも勘違いが起こる
吉良だ。黒裂の横にいたせいでバッチリ睨む様子を見てしまった彼には、"睨み付ける一星と、恐怖で目を逸らし俯く黒裂"というニュアンスで映ってしまう。事情(大変笑える)を知らない彼からしてみれば、前科のある一星の悪事を決定付けるかのような動作であった。湖の水面に波紋が広がる
先入観って凄い
スッと音もなく彼は立ち上がった。『せ…先輩…？』という黒裂の声には応じず、一星へ歩みよる。純粋な子供のように、灰崎を避けることを楽しみだした一星は(灰崎はガチギレ)、サッカーをしているときよりも輝いて見えた
「おーーっと？背中ががら空きだぜ」
灰崎、やっちまえ。吉良が脇を締め上げて動きを止める。試合外で、初めて2人が連携した瞬間だった。双方目を合わせて笑いあう、まるで手を取り合ったチューリップと袖まくりの宇宙人のようである。懐かしい
からかいすぎた、近距離の接近に気付かなかったことに一星は舌打ちを1つ。思いを抱える吉良の腕の強さから、ギリギリと震える。その時にはもう、灰崎の拳が固く握られていた
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Setsuki.(プロフ) - 良子(ラッコ)*さん» なんか、1年生なので童顔を意識したら小学生くらいになってしまいました笑 応援、ありがとうございます！なんか勝手にふざけたの描いてごめんなさい汗(リア充見た時の顔とか…←)私も、良子さんのこと応援してます！頑張ってください！ (2019年5月16日 20時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
良子(ラッコ)*(プロフ) - Setsuki.さん» ありがとうございます！細身の綺麗な雰囲気で書いて下さって、線とか、画力の高さが目にしみます･･･。何気にイラスト書いて貰ったの初めてで、こうも嬉しいものなのかと目頭が熱くなっています。Setsukiさんも絵師としても、執筆者としても、応援しますので頑張って! (2019年5月16日 18時) (レス) id: 8f91876c31 (このIDを非表示/違反報告)
Setsuki.(プロフ) - 白黒で申し訳ないです。ごめんなさい (2019年5月15日 22時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Setsuki.(プロフ) - http://uranai.nosv.org/img/user/data/b/4/7/b47f19bd8787bd22a00ed67eeed75d36.jpg.jpg (2019年5月15日 22時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Setsuki.(プロフ) - 良子さんどうも！大変遅くなりましたが、この小説の黒裂ちゃんが完成しましたので報告しに参りました！URLはここに載せておきますね！ (2019年5月15日 22時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：良子(ラッコ)* x他1人 | 作成日時：2018年12月8日 23時
