筒抜けの幸【伏黒甚爾】 ページ49
ほんの少しだけの絶望が混じった幸福を私は味わったことがある。
それはまったくの無味無臭で、ただ熱くて苦しいだけだったけれど、胸に残る締め付けられるような喜びは夢なんかじゃなかった。
私が触れた幸福は、男。
男だった。
体格が良くて、恵まれることのない私を連れ出してくれた男だった。
呪術もろくに使えない、体の弱い私を連れ出して。
惣暗が飲み込む世界にふたりきりで。
こうやって私を静かに眠らせてくれる。
体温は高くて、首元は少し苦しい。
ふわふわする頭の中で、彼の優しいような声が聞こえた。
なんて言ったのかしら。
この世界じゃ幸せになれない、そう気付いたとき連れ出してくれたのが貴方で良かった。
私が目を閉じるまで彼は私に触れていた。
今は暗い。
私が見てきたどの闇よりも、ずっと。
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阿津(プロフ) - はじめまして!こちらの作品読ませていただきました!!なんというか、とても素敵でした。言葉一つ一つが心に刺さってくるような感じがとても好きです。上手く伝えられなくてすみません…( ; ; )これからも頑張ってください!応援しています:) (2020年10月16日 10時) (レス) id: 510d3e29ad (このIDを非表示/違反報告)
ぽりすめん(プロフ) - rukiさん» はじめましてrukiさん!評価のことなのですが夢短編集気に入って貰えたらそれで良しのスタンスで行こう、と思えたので評価機能はオフにしました、まあ評価が怖いだけなんですが…コメントありがとうございます、体調に気を付けてしっかり夜寝てくださいね! (2020年4月26日 23時) (レス) id: 46d4b25c7d (このIDを非表示/違反報告)
ruki(プロフ) - はじめまして!!気になったのですが、評価が出来ないようになっているのは故意ですか?気になって夜しか眠れません← (2020年4月26日 22時) (レス) id: 3e8c5a6235 (このIDを非表示/違反報告)
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