キルミーアンドウェイト【呪術廻戦】【短編集】

いとけない海の底から【七海健人】 ページ40

この人が好き。


あの人が好き。


そんな感情はいつだって生まれて息をして、赤ちゃんのようにふにゃふにゃと笑う。


お父さん、近所のお兄ちゃん、小学校の同級生。


好きになるのも嫌いになるのも私からで、生まれた恋心が死ぬまでは嫌いにも好きにもなれない。


恋とは随分厄介だ。


今日も自分が可愛く見えてしまうから。




そして今回の恋を生んだ人は同僚の七海健人。


まるでお人形みたいな顔立ちで、凄く可愛くてかっこいい。

そして嘘が下手、かわいい。



私が可愛い、と誉めると嫌そうな顔をする。


かわいい。



「責任とってよ」


「貴方と致したことはないので」



眼鏡越しに見える瞳がなんとも愛おしい。

やだ、逃してやんない。


私、言ったじゃない。


感情は産まれて息をして。



赤子みたいにふにゃふにゃ笑うって。


怖がらないでよ、愛してるから。


そして何事もなかったように腹を撫でる。

ねぇ、ここから愛が産まれてくると思う？

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