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捨て置く【五条悟】 ページ38

今更、というか。


高専を卒業して数年、何度か聞くことは五条悟が私の事を好きだったという話。

私だって彼に興味が無かった訳じゃないけど。


でも、必然的に離れたというのが事実だった。


恋という幻想が淡く募ってゆく。


想うのも、慕うのも、いつだって私からで離れてゆくのも私から。



所詮は恋愛だから、と言い切って今日まで生きてきた。

それよりも、何よりも。


呪術師、私も彼も恋なんてできる状況ではない。



私だってつい最近、一級になったけれどまだまだ足手まといに決まっている。


それに好きだなんてこと、昔からのプライドが許せなくて言えない。



好きだって、追いついてみせるから隣に立ちたいって。


貴方が許す時間の限り傍にいてもいいか、なんて簡単な言葉。



それが私の声帯のあたりで引っかかって出てきてくれない。



本人がいないからいいや、と思いつつ硝子や歌姫先輩、冥冥さんにもとりあえず私は現在進行形だと伝えておいている。


どうせ過去形なのだから。


貴方が私を隣に置くはずはない。


きっといつものように、飄々と私をからかって終わりなのだから。

そんなの、私からしてもからかわれるだけ幸せだから。


だから良いって思えていたのに、なのに。


そんなに嬉しそうにされたら、私、何て返せばいいか分からない。



「僕のこと現在進行形で好きなんだって?」



「まぁ…でも五条は過去形でしょ?」



「んー…どうだろ」



ああ、どうしてもこうしても都合がいいように解釈してしまって、辛い。


何が言いたいのかわからない。


どうしてこういう時だけ、見透かしたようにサングラスを取るのかわからない。


私の家だからって、安心しちゃって。


サングラス無い、嬉しそう、好きだった。


これを全部まとめると好きに変わってしまってずっと辛い。



「好きになってほしい?」



ずるい、貴方がかけた銀色の指輪がついたネックレス。


勘違いの材料が揃って、恥ずかしくて顔が見れない。



「勘違いしてよ」


久しぶりに触れた悟の手は、私の想像よりもずっと熱くて大きい。


声帯のあたりから、呪いが吐かれるように飛び出した。

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阿津(プロフ) - はじめまして!こちらの作品読ませていただきました!!なんというか、とても素敵でした。言葉一つ一つが心に刺さってくるような感じがとても好きです。上手く伝えられなくてすみません…( ; ; )これからも頑張ってください!応援しています:) (2020年10月16日 10時) (レス) id: 510d3e29ad (このIDを非表示/違反報告)
ぽりすめん(プロフ) - rukiさん» はじめましてrukiさん!評価のことなのですが夢短編集気に入って貰えたらそれで良しのスタンスで行こう、と思えたので評価機能はオフにしました、まあ評価が怖いだけなんですが…コメントありがとうございます、体調に気を付けてしっかり夜寝てくださいね! (2020年4月26日 23時) (レス) id: 46d4b25c7d (このIDを非表示/違反報告)
ruki(プロフ) - はじめまして!!気になったのですが、評価が出来ないようになっているのは故意ですか?気になって夜しか眠れません← (2020年4月26日 22時) (レス) id: 3e8c5a6235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽりすめん | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年4月25日 19時

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