理想的なラブロマンス【虎杖悠仁】 ページ20
「見て、ほらできたよ」
こぼれ落ちた海の涙のようなシーグラスをかき集めて積み重ねてみる。
青緑に、真っ青と白く濁ったガラス。
決して同じものは見つからなくて、微かな熱を帯びたざらりとした感触が指先から脳に伝わる。
静かなさざ波と、柔らかな白い砂。
ねえ、私ここを覚えてる。
悠仁、私ね、ふたりきりで行ったのを覚えてる。
秘密にして二人であって。
こっそり夏の海に行った。
平日だからか人はあんまりいなくて、世界に私達だけが取り残されたみたいで凄く感動した。
繋いだ手のひらの熱と、貴方が褒めてくれたワンピース。
あれはずっと白いままだよ。
何ものにも染まらない、けれど弱さを見せてくれる悠仁が、私大好き。
ここに幻想を捨て置くの。
人生で一番の理想郷を捨てて、地獄同然の世の中を歩いて行きたい。
貴方とだから。
ああ、やっと思い出した。
「おはよう、悠仁」
ずっと私の手を握っていた悠仁の髪を撫でる。
理想郷ではあんなに軽やかに揺れていた髪は、ずっとかたくて新鮮だった。
ねえ、私、理想郷を捨てたのよ。
どうしてか分かる?
「A、おかえり」
呪いから目覚めた私を涙ぐみながら見つめる悠仁。
ねえ、私、この地獄をユートピアに変えてあげる。
どこまでも豊かでやさしい地獄にしてあげる。
貴方と私でおかえりとただいまをリレーしてこの地獄を変えてあげる。
例え、世界が貴方にとってのディストピアだったとしても。
ねえ、私の手をずっと掴んでいて。
ただいまを永遠にして。
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阿津(プロフ) - はじめまして!こちらの作品読ませていただきました!!なんというか、とても素敵でした。言葉一つ一つが心に刺さってくるような感じがとても好きです。上手く伝えられなくてすみません…( ; ; )これからも頑張ってください!応援しています:) (2020年10月16日 10時) (レス) id: 510d3e29ad (このIDを非表示/違反報告)
ぽりすめん(プロフ) - rukiさん» はじめましてrukiさん!評価のことなのですが夢短編集気に入って貰えたらそれで良しのスタンスで行こう、と思えたので評価機能はオフにしました、まあ評価が怖いだけなんですが…コメントありがとうございます、体調に気を付けてしっかり夜寝てくださいね! (2020年4月26日 23時) (レス) id: 46d4b25c7d (このIDを非表示/違反報告)
ruki(プロフ) - はじめまして!!気になったのですが、評価が出来ないようになっているのは故意ですか?気になって夜しか眠れません← (2020年4月26日 22時) (レス) id: 3e8c5a6235 (このIDを非表示/違反報告)
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